セッション情報 ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-

タイトル 消W6-13:

障害肝合併肝細胞癌患者の周術期BCAA顆粒製剤投与を含めた運動・栄養療法の臨床効果

演者 海堀 昌樹(関西医大・外科)
共同演者 木村 穣(関西医大・健康科学科), 權 雅憲(関西医大・外科)
抄録 【目的】慢性肝疾患に対して栄養療法のみならず運動療法の重要性が最近注目されている。今回我々は、障害肝合併肝癌に対する周術期BCAA製剤投与を含めた運動・栄養療法を組み合わせた包括的リハビリテーションの検討を行った。【方法】対象は慢性肝炎、肝硬変併存肝癌患者。現臨床試験以前に運動療法+栄養療法(n=25,糖尿病合併3例)と栄養療法単独群(n=26,DM3例)との比較検討を終了。現臨床試験は周術期BCAA顆粒製剤投与を含めた運動・栄養療法(n=23,DM3例)を行った。運動療法は心肺運動負荷試験(CPX)を行い個人の運動プログラム作成。運動処方は循環器医が作成し、運動プログラムは運動指導士が作成、指導を行う。術前は手術約1M前より開始、術後1週間より再開、自宅で患者本人により嫌気性代謝閾値(AT)強度での運動療法を術後1年間行う。【結果】1)運動療法+栄養療法と栄養療法単独群との比較では、運動群において術後入院期間短縮。術後6Mでの体組成評価での総重量、脂肪量が有意に減少、骨格筋量は差を認めず。運動群は術後6Mの血清インスリン値、インスリン抵抗性指数においても有意に低値。2)現臨床試験(BCAA製剤追加)では前試験の運動療法+栄養療法群と比較し、術後6Mの血清プレアルブミン・RBP上昇、BCAA・BTR上昇、CPXにおいて嫌気性代謝閾値酸素摂取量AT VO2が有意に高値を示し、インスリン抵抗性指数が更に改善。術後6Mで骨格筋量減少が抑制。しかしDM合併例においては一部血液生化学データ改善効果は認められるが、その他有意な改善効果は認められず。【考察】BCAA製剤投与を含めた運動・栄養療法により、1)障害肝に合併したインスリン抵抗性改善、2)肝切除術において入院期間短縮、3)術後肝硬変患者の骨格筋萎縮予防効果が得られた。以上より障害肝合併肝癌周術期における運動処方の重要性が示唆された。今回糖尿病合併肝癌患者に対しては、運動およびBCAA製剤投与の効果は術後6ヶ月では認められず、さらに症例数および介入期間延長による観察が必要。
索引用語 肝癌肝切除, 運動療法