セッション情報 |
ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-
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タイトル |
肝W6-14:アルブミンの構造的・機能的変化からみたC型肝硬変における分岐鎖アミノ酸治療の意義
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演者 |
瀬戸山 博子(熊本大大学院・消化器内科学DELIMITER熊本労災病院・内科) |
共同演者 |
田中 基彦(熊本大大学院・消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】ヒト血清アルブミン(HSA)は、酸化・還元緩衝作用や物質輸送能を有しており、酸化ストレス制御能や薬物結合能の変化によって肝疾患の病態形成へ関与することが考えられる。そこでC型肝硬変におけるHSAの構造的・機能的変化、および分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤が及ぼす影響を検討した。【方法】健常者20例、肝硬変(LC) 79例(Child-Pugh A 48例、B 27例、C 14例)を対象として、高速液体クロマトグラフィーによりHSAの構造的変化を解析した。機能解析としてDPPHラジカル消去能、抗酸化能、サイトIIリガンド結合能について評価した。またBCAA製剤投与によるHSAの経時的な構造的・機能的変化を検討した。【成績】HSA量は健常者4.3±0.6、LC 3.3±1.1 (A: 3.6±0.8、B: 3.1±0.5、C: 2.6±1.0) g/dLで、酸化型比は健常者24.1±4.8、LC 38.0±19.6 (A: 35.8±18.8、B: 39.3±18.3、C: 43.2±21.1) %と肝疾患の進行に伴い有意に上昇した。また肝疾患の進展に伴い還元型HSA量は有意に低下したが、酸化型量には差がなかったことから、HSA値の低下は還元型の低下が主因と考えられた。DDPHラジカル消去能、抗酸化能、サイトIIへのケトプロフェン結合能は有意に低下していた。BCAA投与後では投与前と比べ、還元型HSA量は有意に上昇し酸化型比、酸化型HSA量は低下した。またDDPHラジカル消去能、ケトプロフェン結合能はそれぞれ投与後に有意に改善した。【結論】慢性肝疾患の進展に伴いHSA量のみならず構造的・機能的変化がもたらされ、肝病態のさらなる悪化につながることが考えられた。さらにBCAA投与はHSA、特に還元型の上昇とそれに関連した機能改善を介して、C型肝硬変の総合的な病態改善をもたらすことが示唆された。 |
索引用語 |
還元型アルブミン, 分岐鎖アミノ酸製剤 |