セッション情報 |
ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-
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タイトル |
肝W6-15:C型肝硬変例における分岐鎖アミノ酸製剤と肝発癌との関連
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演者 |
多田 俊史(大垣市民病院・消化器内科) |
共同演者 |
熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 豊田 秀徳(大垣市民病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】近年、栄養療法が注目されるようになり、肥満と肝発癌や分岐鎖アミノ酸(BCAA)による肝癌細胞増殖抑制のメカニズムが明らかになりつつある。今回、C型肝硬変例においてBCAA製剤と肝発癌との関連につき検討を行った。【対象】対象は2005年7月から2011年12月までの間に当院で経験したHCV-RNA陽性2752例中、(1)対象期間に経過観察を開始もしくはBCAA製剤の内服を開始、(2)血小板が13万/μl未満、(3)インターフェロン(IFN)治療歴なし、(4)定期的なフォローにより肝細胞癌のサーベイランスを施行、(5)6ヶ月以上の経過観察、(6)BCAA製剤内服例は3ヶ月以上の内服、(7)発癌例では経過観察開始もしくはBCAA製剤内服開始後1年以上で発癌、のすべてを満たした307例である。男性141例、女性166例で年齢中央値は72歳(33-91)であった。BCAA製剤が投与されたのは39例(投与群)で、内服期間中央値は2.0年であった。観察期間中央値は4.6年(0.5-6.4)であった。【結果】全体の発癌率は1年/3年/5年がそれぞれ2.1%/11.1%/21.2%であった。続いて、BCAA投与群(n=39)/非投与群(n=268)、年齢:70歳未満(n=116)/以上(n=191)、性別:男性(n=141)/女性(n=166)、BMI:25未満(n=202)/以上(n=47)、血小板:10万/μl未満(n=165)/以上(n=142)、ALT:35未満(n=124)/以上(n=183)、T.Bil:1.2mg/dl未満(n=218)/以上(n=89)、Alb:3.5g/dl未満(n=77)/以上(n=230)にてCox比例ハザードモデル(変数増加法)にて多変量解析を施行したところ、BCAA投与:ハザード比0.26553、95%信頼区間0.07695-0.91629、P=0.0359、ALT:ハザード比0.38256、95%信頼区間0.18636-0.78532、P=0.0088でそれぞれ生存に関与する因子として選択された。【結論】 今回の検討ではIFN治療歴のないC型肝硬変患者において、従来から指摘されている肥満と発癌との関係は認められなかった。しかしBCAA製剤投与により発癌のリスクが抑えられることが明らかとなり、肝硬変患者の栄養療法として重要な位置を占めることが示唆された。 |
索引用語 |
分岐鎖アミノ酸, 発癌 |