セッション情報 ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-

タイトル 肝W6-18:

C型肝細胞癌に対するラジオ波治療後の異所再発に対する糖代謝の影響についての検討

演者 片山 和宏(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科)
共同演者 榊原 充(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 大川 和良(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科)
抄録 【目的】慢性肝疾患の病態には、肝炎ウイルスが深く関与しているが、最近代謝面も重要な働きをしていることが指摘されつつある。特に糖代謝異常は、肝の線維化や発癌との関与が示唆されている。今回我々は、肝細胞癌に対するラジオ波による根治治療後の異所再発における糖代謝、特にインスリン抵抗性の関与について明らかにすることを目的とした。【方法】2010年3月から2011年10月まで当科でラジオ波治療を行なったC型の肝細胞癌症例から無作為抽出した39症例のうち、局所再発したものを除いた35例を対象とした。治療前の対象症例の年齢は76.8±4.1歳、男性:女性が19:16例。腫瘍サイズは、5-23(14.9±4.4)mmで、腫瘍個数は、1-3(1.3±0.5)個。肝予備能は血清Alb 3.7±0.5g/dl, PT 83.2 ± 12.7%, T.Bil 0.90 ± 0.27 mg/dlであった。方法は、Cox比例ハザードモデルを用い、各因子と肝細胞癌の異所再発との関連を検討した。【成績】年齢、性別、腫瘍サイズと個数、Alb, PT, T.Bil, AFP, AFP-L3, PIVKA, HbA1c(6.5%以上vs未満), 血中IRI(15μU/ml以上vs未満)、HOMA-IR(2.5以上vs未満)の因子を単変量解析し、p値が0.2以下を示したIRI(15以上)、HOMA-IR(2.5以上)、HbA1c(6.5以上)、Alb, PTの5因子で多変量解析したところ、HOMA-IR(2.5以上)がHR 4.29(95%CI 1.44-12.88, p=0.009)、PTがHR 0.952(95%CI 0.91-0.99, p=0.025)の2因子が有意であった。HOMA-IR 2.5以上および未満群別にKaplan-Meyer解析にて累積異所再発を検討すると、2.5以上の群が有意に異所再発が多かった(Log-rank p=0.0293)。【結論】C型肝細胞癌に対するRFAによる局所治療後の異所再発には、インスリン抵抗性が関与している。RFA治療成績を改善させるためには、インスリン抵抗性の改善が有効である可能性が示唆された。
索引用語 インスリン抵抗性, 肝発癌