セッション情報 シンポジウム1

C型肝炎治療の最前線

タイトル S1-1:

C型慢性肝炎に対するTelaprevir/Peg-IFN/RBV3剤併用療法の有効性と安全性について―多施設(OLF)共同研究―

演者 平松 直樹(大阪大学消化器内科学)
共同演者 林 紀夫(関西労災病院), 竹原 徹郎(大阪大学消化器内科学)
抄録 Telaprevir(TVR)/Peg-IFN/RBV3剤併用療法により,難治性C型肝炎の治療効果が向上することが想定されるが,わが国の臨床試験では,高度な貧血の進行,重篤な皮膚病変の出現など副作用の増強も報告されている.高齢者における有用性や副反応についても今後の検討課題であり,TVRの至適投与量も未だ十分に検討されていないのが現状である.今回,OLF参加施設においてTVR/Peg-IFN/RBV3剤併用療法の開始登録がされたGenotype1型高ウイルス量のC型慢性肝炎160例のうち,治療開始後12週以上経過した85例(平均年齢:60.8±8.7歳,M/F=47/37例,TVR投与開始量2250mg/1500mg=48/36例)を解析対象とし,その治療効果と副作用について検討した.TVR投与期間(治療開始後12週間)におけるTVR減量・休薬は47.6%[主な減量・休薬理由:Hb減少(14.6%),消化器症状(7.3%),腎障害(6.1%),皮膚症状(4.9%)],TVR中止率は28.2%[主な中止理由:Hb減少(9.6%),皮膚症状(7.2%),消化器症状(4.8%)]であった.TVR投与開始量別のTVR中止率は,2250mg群で35.4%(17/48)と1500mg群の17.6%(6/34)に比し高率であり,特に65才以上では6割(9/15)が副作用中止となった.一方,治療開始後4/8/12週のHCV-RNA陰性化率は,2250mg群:83.3%/97.2%/100%,1500mg群:86.7%/97.0%/97.0%とほぼ同等であり,さらに65才以上における1500mg群でも92.3%/100%/100%と高率に早期陰性化を認めた.また,治療歴別の4/8/12週のHCV-RNA陰性化率は,未治療群:85.0%/100%/100%,前治療再燃群96.0%/100%/100%,前治療無効群:66.7%/86.7%/93.3%と,RVR率は再燃群が最も高率であり,無効群が最も低率であった.以上の結果は,TVR標準投与量(2250mg)では副作用の出現頻度が高く,特に高齢者では,減量投与開始(1500mg)によって治療を完遂することで,治療効果が向上する可能性を示唆するものと考えられた.本シンポジウムでは,TVR投与量と治療効果ならびに副作用との関係や高齢者への対応について発表したい.
索引用語