セッション情報 |
シンポジウム1
C型肝炎治療の最前線
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タイトル |
S1-4:C型慢性肝炎に対するTelaprevir3剤併用療法のTVR用量別の治療効果と安全性の比較
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演者 |
瀬崎 ひとみ(虎の門病院肝臓センター) |
共同演者 |
鈴木 文孝(虎の門病院肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院肝臓センター) |
抄録 |
【目的】Telaprevirが使用可能となり,難治例でも高率にウイルス排除できるようになった一方で,副作用は従来の治療法よりも強くなったため,症例に応じて用量を調整するなど,柔軟な対応が必要とされる.そこで今回は,TVR開始量2250mg/日群と1500mg/日群のウイルス動態と副作用発現経過を比較検討することを目的とした.【方法】対象は当院においてTVR3剤併用療法を開始し12週間以上経過した症例192例.男性114例,女性78例,年齢は23-73歳(中央値58歳)であった.TVR2250mg群120例,1500mg群72例の治療中のHCV RNA陰性化率およびHb減少量,血清Cr変化量,皮膚病変出現の有無について比較検討した.また4週目のTVR,RBV血中濃度を測定できた症例で副作用発現との関係を検討した.【成績】1)TVR2250mg群と1500mg群の累積HCV RNA陰性化率はそれぞれ,2週目28.3%,38.9%,4週目84.2%,86.1%,8週目98.3%,100%,12週目99.2%,100%と両群に有意差は認めなかった.一方,Hb低下量は,それぞれ中央値(g/dL)が,4週目-3.3,-2.9(p=0.041),8週目-4.1,-3.5(p=0.002),12週目-4.1,-3.6(p=0.023)と2250mg群でHb減少が強く,血清Crの変化量(mg/dL)は,それぞれ1日目0.2,0.1(p=0.043),4週目0.2,0.1(p=0.009),8週目0.2,0.1(p=0.021)と2250mg群で有意にCr上昇した.皮疹の出現率については84例(75%)と44例(70%)で両群に差を認めなかった.2)46例で治療4週目のTVRおよびRBV血中濃度を測定した.TVR2250mg群と1500mg群でそれぞれ,4週目のTVR濃度中央値は3.143,3.626μg/mL,RBV濃度は2439,1850ng/mLといずれも有意差を認めなかった.TVRの血中濃度と皮疹との関係は,皮疹の出現なしで2.497,ありで3.528μg/mLと皮疹出現例での血中濃度が有意に高かった(p=0.045).【結論】TVRを1500mg/日に減量して開始しても治療中のHCV RNA陰性化率も高率に維持できた.さらに治療中のHb低下およびCr上昇を抑えることが可能であった.今後最終的な治療成績を評価する必要がある. |
索引用語 |
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