セッション情報 シンポジウム1

C型肝炎治療の最前線

タイトル S1-5:

C型慢性肝炎に対するPEG-IFNα2b・RBV・TVR3剤併用療法による実臨床経験

演者 高橋 和弘(九州大学関連肝疾患研究会)
共同演者 野村 秀幸(九州大学関連肝疾患研究会), 林 純(九州大学関連肝疾患研究会)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対するPEG-IFNα2b・RBV・TVRの3剤(PRT)併用療法による実臨床経験を報告する.【方法】対象は,2011年12月より2012年8月までPRT3剤併用24週間治療が開始されたC型慢性肝炎298例(平均58.8歳,男性145例,女性153例,IL28B TT 193例,TG/GG 78例,同定中27例)である.治療によるウイルス学的効果と宿主・背景因子との関連及び副作用を調査した.298例中94例は,治療終了後4週以上経過したため治療後4週のHCV血症消失(SVR4)が判定された.【成績】全体298例中33例,11.1%が治療中止になった.治療1週,4週,12週および治療終了時の血清HCV RNA陰性化率(ITT解析)は,各々,6.8%,76.1%,99.0%,96.5%で,SVR4は87.2%であった.SVR4を達成する治療前因子解析において,性別,年齢別,前治療歴別,IL28B別,ITPA別,TVR開始量別に有意差は認められなかった.多変量解析により,治療前T.Chol値高値のみがSVR4率に有意な因子であった(T.Chol>167mg/dL 95.5% vs.<167mg/dL 80.0%,P=0.049).4週までのTVRアドヒアランス(2250mg/日×4週を100%とした)別解析において,60%以上投与59例のSVR 4率89.8%は,60%未満投与7例の42.9%に比べ有意に高率であった.治療中の皮疹出現率は51.2%で,そのうち66%は治療開始2週以内の出現であった.皮疹に対しステロイド内服治療した25例のSVR4 100%は,ステロイド使用しなかった69例の82.6%より高率であった.【結語】3剤併用療法は高い著効率が得られ,4週までのTVR投与量が効果を左右し,1500mg開始量で開始4週間の十分なアドヒアランスの得ることが重要である.
索引用語