セッション情報 |
シンポジウム1
C型肝炎治療の最前線
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タイトル |
S1-7:当科におけるPEG-IFN/Ribavirin/Telaprevir三剤併用療法の現況と有害事象の検討
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演者 |
熊谷 公太郎(鹿児島大学消化器内科) |
共同演者 |
井戸 章雄(鹿児島大学消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器内科) |
抄録 |
【背景・目的】1型高ウイルス量のC型慢性肝炎に対するテラプレビル三剤併用療法が承認されその高い治療効果が期待されているが,皮膚症状,貧血以外にも血清クレアチニン値上昇などの有害事象には注意が必要である.今回我々は,当科における三剤併用療法の治療経過および有害事象について検討した.【対象・方法】当科において三剤併用療法を導入した1型高ウイルス量のC型慢性肝炎34例を対象として下記を検討した.1)臨床背景,2)テラプレビルの投与方法(量・投与回数),3)投与開始1週および4週後のHCV消失率,4)有害事象(皮膚症状,貧血,腎機能障害(eGFR<50ml/min/1.73m2))【結果】1)平均年齢55.6歳,男性:女性=18例:16例,初回:再燃:無効=19例:9例:6例であった.2)投与方法は1500 mg分2:1500mg分3:2250mg分3=13例:10例:11例であった.3)投与開始1週後のHCV消失率は8.8%(3例),4週後のHCV消失率は4週以降まで観察可能であった29例中22例,75.9%であった.3)皮膚症状は16例(47.0%),貧血は全例(100%),腎機能障害は6例(17.6%)にみられた.テラプレビルの投与法別では皮膚症状は1500 mg分2:1500mg分3:2250mg分3=3例:5例:8例と2250mg投与例に多く,Hbの減少率は1500 mg分2:1500mg分3:2250mg分3=-23.2%:-30.7%:-27.9%,eGFRの低下率も-26.5%:-34.2%:-28.1%と1500mg分3で不良であった.eGFRの低下率とHbの減少率には明らかな相関はなかったが,eGFRが20%低下した26例中,22例(84.6%)でHbが20%以上低下していた.eGFR低下例には飲水負荷,輸液を行い,腎機能障害による治療中止例はみられなかった.【考察】三剤併用療法における早期の抗ウイルス効果は良好であるが,皮膚症状,貧血,腎機能障害などの有害事象も高率に発現した.腎機能障害と貧血の関連性が明らかとなり,eGFR低下例では貧血の進行にも注意が必要と考えられた.腎機能障害の機序は明らかでないが,飲水負荷および補液によってeGFRを保つことで治療継続が可能であった. |
索引用語 |
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