セッション情報 シンポジウム1

C型肝炎治療の最前線

タイトル S1-8:

三剤併用療法における腎機能障害,貧血からみたTelaprevir,RibavirinのDrug-interactionの検討

演者 狩野 吉康(札幌厚生病院肝臓科)
共同演者 髭 修平(札幌厚生病院肝臓科), 豊田 成司(札幌厚生病院肝臓科)
抄録 【目的】Telaprevir(TVR)を含む三剤併用療法の有害事象として貧血,皮疹に加えて,市販後から腎機能障害が問題になっており,薬剤アドヒアランスに影響を与えている.三剤併用療法時のTVR,Ribavirin(RBV)間のdrug-interactionを腎機能障害と貧血から解析する.【方法】PEG-IFN,RBV,TVRの三剤併用療法を施行した69例を対象とした.PEG-IFNは体重ベースに1.5μg/kgで週一回投与した.RBVは原則体重ベース(60kg未満600mg,60kg以上80kg未満800mg,80kg以上1000mg)で連日投与し,Hb12g/dl未満の症例では200mg減量投与した.TVRはHb値あるいは性別により1500mg又は2250mgを連日投与した.保存血清を用いて治療初期のRBV血中濃度,TVR血中濃度(LC-MS/MS法)を測定し,推算糸球体濾過量(eGFR),Hb値の推移との関連を検討した.【成績】定常状態の1週間目のTVR血中濃度は中央値2599(1076-4598)ng/mlと広い分布を示した.体重あたりのTVR投与量(mg/kg)は1週目のTVR血中濃度と有意な相関(R=0.502,P<0.001)を示し,治療1週目,2週目のeGFR低下量とも有意な相関を示した(各々R=0.268,P=0.022,R=0.368,P=0.002).一方,治療1週目のeGFRは治療1週目,2週目のRBV濃度と有意な逆相関を示し(各々P=0.002,R=-0.370,P=0.002,R=-0.403),更に治療1週目RBV濃度は,治療4週目,8週目のHb値と有意な逆相関を示した(各々P=0.001,R=-0.390,P=0.002,R=-0.373).これらの結果から,三剤併用療法においてはTVR単剤の貧血に加え,TVRの血中濃度上昇に伴い腎機能が障害されることにより腎排泄性薬剤であるRBVの血中濃度上昇が助長され,RBV誘起性の貧血が強く出現する図式が想定された.【結語】三剤併用療法時のTVRによる腎機能障害からRBVの血中濃度上昇による貧血までのdrug-interaction想定された.今後は治療アドヒアランス向上のためTVR,RBV両薬剤の至適投与量の検討が必要である.
索引用語