セッション情報 シンポジウム1

C型肝炎治療の最前線

タイトル S1-9[追加]:

C型慢性肝炎3剤併用療法におけるTelaprevir 2250mg投与の副作用発現について

演者 宮瀬 志保(くまもと森都総合病院肝臓・消化器内科)
共同演者 森下 祐子(くまもと森都総合病院肝臓・消化器内科), 藤山 重俊(くまもと森都総合病院肝臓・消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対するPeg-IFN/RBV/Telaprevir(TVR)3剤併用療法は,強力な抗ウイルス効果を有するが,TVRの投与量において体格が小さい日本人では1500mg投与でも十分な効果が期待できるとの報告がある.今回TVR 2250mg投与での副作用や薬剤減量率について検討した.【方法】3剤併用療法を導入した1型・高ウイルス量の63例を対象とした.全例TVR 2250mgで開始し,その後の減量時期や減量率,減量理由,アドヒアランスを検討した.【成績】内訳は男性38例,女性25例,平均年齢57.4歳,初回投与61.9%,ウイルス量6.7±0.6 logIU/mL,IL28B TT 63.5%,core aa70 wild 52.4%,ISDR≦1 79.4%,肝組織ステージF0,1,2/3,4:25/38例だった.薬剤減量・中止は,Peg-IFN12.7%,RBV100%,TVR76.2%と特にRBVで高かった.TVR中止は5例(7.9%),減量例は43例(68.3%)で理由は大部分が腎障害(36例)であった.開始1週以内の減量は11例(17.5%)で全例腎障害(eGFR<50)によるものだが,65歳未満かつ体重60kg以上もうち5例認めた.アドヒアランスは65歳以上/未満それぞれPeg-IFN 89.5/98.0%,TVR 78.6/77.9%だったが,RBV 38.1/55.3%と65歳以上でRBV投与量の低下を認めた.治療終了後4週まで経過観察した28例中23例(82.1%)でウイルス持続陰性化しているが,breakthroughを3例(全例60歳以上女性,IL28B TG,core aa70 mutant),再燃を2例(50代男性,30代女性)認めた.Breakthrough例のアドヒアランスはPeg-IFN/RBV/TVRそれぞれ91.7/44.4/52.8,73.8/26.0/86.1,100.0/44.4/61.1%とRBVで低下し,RBV休薬期間も存在した.再燃例は100.0/75.0/39.7,100.0/59.4/97.2%で,前者は腎障害によるTVR減量(後者はGenotype 1a)によるものが考えられた.【結論】TVR2250mg投与は貧血による極端なRBV減量の必要があり貧血が予想される高齢,女性例では推奨されないが,TVRの減量による効果減弱を回避するため,両者の投与量の厳密なモニターとバランスを保った減量基準が必要と考えられた.
索引用語