セッション情報 シンポジウム1

C型肝炎治療の最前線

タイトル S1-11:

実地臨床における3剤併用療法の治療成績

演者 島田 紀朋(新松戸中央総合病院消化器・肝臓科)
共同演者 厚川 正則(日本医科大学千葉北総病院消化器内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】Genotype1のC型慢性肝炎(CHC)に対するTVRとの3剤併用療法T12PR24でのSVRにはRVRが最も重要であるが,前治療NVR例ではRVR達成例でもSVRは低率であることが知られている.一方海外からの報告ではn-RVRや前治療NVR例に対する延長投与(T12PR48)の有効性が示されている.そこでそれらの症例を延長投与する多施設共同研究を行った.【方法】対象はGenotype1bのCHCで3剤併用療法を開始した154例.RVRに寄与する因子を多変量解析で検討し,さらにeRVR,ETR(T12PR24終了または中止時),治療終了8週後のウイルス陰性化(SVR8)の検討を行った.なお治療中止基準は日本肝臓学会による「C型肝炎治療ガイドライン」に則った.【成績】1)RVR:RVR率は77%(108/141).多変量解析で前治療歴(Naïve or Relapser/NVR:OR 3.3,p=0.016),Plt(OR 1.1,p=0.018),HCV-RNA(OR 0.2,p<0.001)が抽出された.なおRVR108例中,12週経過した92例全例でeRVRが達成された.2)ETR:前治療別ではNaïve/Relapser/NVRで96%(24/25)/100%(39/39)/87%(20/23).ETR率はIL28B SNP(rs8099917)TT/n-TTで100%(54/54)/88%(29/33)とTTで有意にETR率が高かった(p=0.018).なおETR達成83例中20例は延長投与中であるが,現時点で全例ウイルス陰性化を維持している.3)SVR8:前治療別ではNaïve/Relapser/NVRで78%(7/9)/100%(16/16)/43%(3/7).IL28B TT/n-TT別では100%(21/21)/43%(5/11)でTTが有意にSVR8率が高かった(p<0.001).前治療NVRでn-TT4例は全てn-SVR8であった.【結論】ETR非達成例及びn-SVR8は全例IL28B n-TTであり3剤併用療法でもminor allele症例はなお難治である.しかしETR達成例はT12PR24以降全例ウイルス陰性化を維持しており,最終的な成績の解析が待たれる.
索引用語