セッション情報 シンポジウム1

C型肝炎治療の最前線

タイトル S1-12[追加]:

3剤併用療法における個別化治療の実際と課題

演者 松浦 健太郎(名古屋市立大学消化器・代謝内科学)
共同演者 田中 靖人(名古屋市立大学病態医科学), 城 卓志(名古屋市立大学消化器・代謝内科学)
抄録 【背景・目的】genotype 1のC型慢性肝疾患に対してPEG-IFN/RBV/Telaprevir(TVR)療法が可能となり治療効果は向上したが依然として難治例は存在する.また,有害事象が問題となっており,当院では治療効果予測にもとづいた個別化治療を実践している.この様な背景患者における3剤併用療法の有害事象,薬剤投与率,早期の治療反応性について検討した.【方法】対象は37例(男性19例,年齢中央値56歳,60歳以上は15例,血小板中央値14.2万/μL,IFN未治療例11例,rs8099917:TT/TG 32/5例,rs1127354:CC/CA 29/8例,TVR1500mg開始6例).(検討1)有害事象の頻度,要因.(検討2)12週までのTVR,RBV投与率.(検討3)HCV-RNA動態(24h,1,2,4,8,12週)とIL28B遺伝子多型,血清IP-10値(治療前,24h)の関連.【結果】(検討1)Grade1/2/3の皮疹を12/6/4例にみとめたが要因についての傾向はみとめなかった.開始12週までに22例(60%)がHb<10g/dLとなり,うち11例(30%)が<8.5g/dLとなったが,ITPA遺伝子多型間で差はみとめなかった.高尿酸血症(≧8mg/dL)は29例(78%),腎機能低下(eGFR<50ml/min/1.73m2)は15例(41%)にみとめた.(検討2)TVR2250mg完遂/減量完遂/中止例の割合は,60歳未満男性で9(82%)/2(18%)/0(0%),それ以外で2(8%)/7(29%)/15(63%)であり,RBVの投与率についても60歳以上あるいは女性においては減量率が高かった.(検討3)HCV-RNA陰性化率は1/2/4/8/12週で5/43/84/97/97%であった.rs8099917:TG例も全例がRVRとなったが,ウイルス変異,前治療,年齢などが好条件であった.治療前の血清IP-10値に関わらずHCV-RNAは速やかに減少したが,治療開始24hのIP-10増加率と第2相減衰は弱い負の相関をみとめた(r=-0.288).【結語】治療効果予測にもとづいた個別化医療下での早期の治療反応性は極めて良好であったが,特に高齢者,女性における薬剤投与量のマネージメントが課題である.
索引用語