セッション情報 シンポジウム1

C型肝炎治療の最前線

タイトル S1-13:

難治性C型慢性肝炎におけるテラプレビル3剤併用療法の効果と安全性の検討

演者 朝比奈 靖浩(東京医科歯科大学分子肝炎制御学講座)
共同演者 中川 美奈(東京医科歯科大学消化器内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学消化器内科)
抄録 【目的】テラプレビル(TPV)3剤併用療法は次世代プロテアーゼ阻害剤を待機できない症例で導入されることも多く,高齢,高度線維化,HCC治療後など治験対象群に比較して極めて宿主側の条件は厳しいことから,実臨床での効果と安全性の評価が重要である.【方法】TPVが認可された後,当院および関連施設でTPV3剤併用療法を施行した難治性C型慢性肝炎160例(M/F=101/59,年齢中央値57歳(27-73))を対象に,宿主遺伝子(IL28B)およびウイルス動態,各種臨床パラメーターの推移を検討し効果と安全性の解析を行った.【結果】TPV初期投与量は38例(24%)が1500mg/日,122例(76%)が2250mg/日で,ほぼ全例副作用による薬剤減量が行われた.1500mg/日投与群では皮疹および高尿酸血症の出現,治療中止率は低く,RVR達成率は1500mg vs. 2250mg=91% vs. 79%と1500mg群で高い傾向にあり(p=0.18),投与前のNS3/4A領域のdeep sequenceによりA156T変異を認めた症例を含めて投与中のviral breakthroughはなかった.また,高齢者(65歳以上)の41%,高度線維化例(F3以上)の44%がTPV1500mg/日で導入したが,RVR達成率は<65歳vs. 65歳≦=82% vs. 93%(p=0.28),F0-2 vs. F3以上=84% vs. 100%(p=0.04)といずれも早期治療効果は良好だった.IL28B別のRVR達成率はMajor vs. Minor=95% vs. 75%(p=0.17)で3剤治療でもIL28B MinorはRVR率が低い傾向にあった.40例でPEG/RBV2剤併用療法を先行するlead-in治療が行われ,2剤lead-in期間中に良好なウイルス減衰が得られた症例はnull response症例に比してTPV add-on後のウイルス減衰が良好だった.【考察】高齢者,高度線維化例においても,宿主・ウイルス因子およびインターフェロン反応性により適応を決定し,投薬調整と副作用対策を十分講じることで,比較的良好な早期抗ウイルス効果が得られた.難治例においては投薬調整による副作用回避で安全性を確保しつつ治療継続することが治療成績向上に重要と考える.
索引用語