セッション情報 シンポジウム1

C型肝炎治療の最前線

タイトル S1-15:

Peg-interferon・Ribavirinリードイン先行投与によるウイルス減衰とTelaprevir併用療法の治療効果

演者 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院消化器科)
共同演者 鈴木 祥子(武蔵野赤十字病院消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院消化器科)
抄録 【目的】Peg-interferon・RBV先行投与(PR-LI)によるウイルス減衰を用いた,Telaprevir(TVR)併用療法の効果予測の精度と有用性を検討した.【方法】PR-LI 4週投与後にTVRをadd-onした37例を対象とした.PR-LI 2W,4WでのHCV RNA減衰,TVR add-on後day 1,2,7のHCV RNA陰性化率を評価した.RBVは標準量で開始し,TVR add-on時のHb10g/dl以上を目標として用量調整した.TVRは2250mgあるいは1500mgを8時間間隔で投与した.【成績】対象の平均年齢は59歳(37-70歳),男性49%,IL28B Majorが86%であった.Hb減少はPR-LI -0.51g/dl/week,TVR add-on後-0.35g/dl/week(0-4W)であり,PR-LI期間中のRBV用量調整によりTVR add-on時に86%でHb10g/dl以上を維持し,TVR併用後の高度貧血を回避できた.PR-LIによるHCV減衰は2W:-1.97 Log,4W:-3.18 Log,TVR add-on後の早期HCV RNA陰性化率は,day1:26%,day2:55%,day7:87%であった.ROC解析により,day1のHCV RNA陰性化予測にはPR-LI 2W:-2.0 Log(Az 0.870),4W:-3.3Log(Az 0.834),day7の陰性化予測にはPR-LI 2W:-1.0 Log(Az 0.923),4W:-2.0 Log(Az 0.820)が最適cut offであった.Day1のHCV RNA陰性化率はIL28B Minor/Majorでは20%/25%と判別困難だったが,PR-LI 2W減衰:<-1.0/-1.0~-2.0/>-2.0Logでは0%/8%/54%,4W減衰:<-2.0/-2.0~-3.3/>-3.3Logでは0%/8%/58%,day7のHCV RNA陰性化率はIL28B Minor/Majorでは20%/86%に対し,PR-LI 2W減衰:<-1.0/-1.0~-2.0/>-2.0Logでは33%/83%/100%,4W減衰:<-2.0/-2.0~-3.3/>-3.3Logでは0%/92%/100%であり,PR-LIによるHCV減衰はTVR併用開始後の早期HCV RNA陰性化を高精度に予測できた.IL28B MinorでPR-LI 2W減衰-0.9Log,4W減衰-0.8 Logの反応不良例においてTVR add-on後7WでT54A変異によるbreakthroughをきたした.【結論】TVRで治療効果が得られない症例の判別にPR-LIによるHCV減衰評価が有用であり,その予測精度はIL28B SNP解析より優れている.
索引用語