セッション情報 |
シンポジウム1
C型肝炎治療の最前線
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タイトル |
S1-16:発癌リスクと治療反応性を考慮したC型肝炎の最新治療
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演者 |
坂本 穣(山梨大学肝疾患センター) |
共同演者 |
前川 伸哉(山梨大学肝疾患地域先端医療システム学), 榎本 信幸(山梨大学第1内科) |
抄録 |
【目的】Telaprevir(T)を含む3剤併用療法は治療成績を飛躍的に向上させが,反面,皮疹・貧血など副作用も多く,近い将来登場する次世代治療も見据えた待機も必要である.そこで治療反応性をウイルス因子・宿主因子から検討し,発癌リスクをP+R治療例と非侵襲的なTransient elastgraphy(TE)から検討した.【方法】2003年12月から当科および関連施設で開始したPEG-IFN(P)+RBV(R)1083例,P+R+T 33例,55±10(17-81)歳,M/F=641/475,1b/2a/2b/他=735/201/146/34を対象とし,HCV変異(ISDR/IRRDR/コアアミノ酸),IL28B・ITPA SNPsを含む宿主因子を検討した.発癌リスクはP+R後3年以上経過観察可能であった376例とTEを施行し2年以上経過観察した550例を対象とした.【結果】1)P+R+TはP+R効果と関連することが指摘されているがP+R NVR予測因子はIL28B TG+GG,IRRDR変異数≦2,AFP≧4.8(P<0.05)で,これ以外はP+R+Tの効果が期待できる症例と考えられた.IL28B TT,≦60歳,IRRDR≧3(P<0.005)はP+RでもSVRが期待でき,副作用が懸念される症例ではP+Rも選択しうると考えられた.2)P+R+TのSVR率は69%(9/13)であり,いずれもIL28B TTもしくはIRRDR≧4であった.一方T中止率は24%(8/33)に上りTENを含めた皮疹・貧血・鬱などであった.3)発癌に関する因子は,非SVR(2.1 vs 10.6%/5年,P=0.007),≧60歳,AFP≧4.8であったが,非SVR例に限るとIL28B TG+GGが寄与因子であった(HR 4.9,P=0.01)であった.4)TEの前向き検討では,次世代治療までの2年以内の発癌は12.0 KPa≧/<で4.1%(6/146)/0.2%(1/404)であり治療待機選択の有用指標になりえた.【結論】治療適応決定には,IL28Bを含めた宿主因子とISDR/IRRDRなどウイルス因子による治療反応性と,TEを含めて発癌リスクを考慮することが重要で,個別化医療を可能にすると考えられる. |
索引用語 |
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