セッション情報 シンポジウム2

肝画像診断の最前線

タイトル S2-1:

C型慢性肝炎における非侵襲的肝線維化診断法の比較

演者 玉城 信治(武蔵野赤十字病院消化器科)
共同演者 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院消化器科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎における各種非侵襲的肝線維化診断法の予測精度について比較を行った.【方法】2011年11月以降に肝生検を施行した84例のC型慢性肝炎患者をProspectiveに検討した.全症例,肝生検前後1日以内にReal-time Tissue Elastography(RTE)によるLF indexおよびAcoustic Structure Quantification(ASQ)を測定した.また肝生検当日に採取した血液データより肝線維化予測値であるFIB-4を算出し比較した.【結果】対象84例は平均年齢:57.7±10歳,男性/女性:30/54例であった.肝生検によって得られた線維化の病理所見はF1/2/3/4:39/22/17/6例であった.61例は腹腔鏡化肝生検を施行しており,腹腔鏡による肉眼診断と病理診断に乖離はなく,サンプリングエラーのない集団と考えられる.病理所見と比較するとRTE,ASQ,FIB-4はいずれも線維化の進行にしたがい,スコアが上昇する有意な相関関係が得られた.それぞれのF stageにおけるLF indexはF1:2.5±0.6,F2:3.2±0.6,F3:4.0±0.8,F4:4.1±0.8であり,F1/2,F2/3群間に有意差を認めた(F1/2:p<0.001,F2/3:p<0.001).高度線維化のF3-4予測におけるそれぞれのAUROCはLF index:0.87,ASQ:0.73,FIB-4:0.78とLF indexが最も有用であった.また同様にF1予測におけるAUROCはLF index:0.85であり,線維化軽度の症例の診断にも最も予測に有用な因子であった.F3-4予測においてCut offをLF index:3.5,FIB-4:3.4とするとそれぞれLF index:感度74%,特異度82%,FIB-4:感度65%,特異度85%であった.これらを組み合わせで検討すると,LF index>3.5かつFIB-4>3.4の症例においてF3-4予測のPPVは92%であり,LF index<3.5かつFIB-4<3.4の症例におけるF3-4予測のNPVは96%であった.【結語】C型慢性肝炎における非侵襲的肝線維化診断法としてRTEが最も有用であった.RTEは高度線維化だけでなく,F1症例の診断にも有用であった.また複数の非侵襲的肝線維化診断法を組み合わせることによってその精度はさらに向上した.
索引用語