セッション情報 シンポジウム2

肝画像診断の最前線

タイトル S2-2:

Acoustic Structure Quantification(ASQ)を用いた脂肪肝の定量的評価と生化学マーカー,線維化との関連性の検討

演者 最勝寺 晶子(済生会川内病院内科)
共同演者 堀 剛(鹿児島逓信病院肝臓内科), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】超音波は脂肪肝の診断に有用でその感度は極めて高いが,客観性や定量性に乏しく臨床判断に苦慮する場合がある.エコー信号のレイリー分布からの逸脱度を分散値の比で評価し,スペックルパターンの均質性を定量化したASQ(Acoustic Structure Quantification)により脂肪肝を評価しその有用性と生化学検査,線維化との関連性を検討した.【方法】撮像装置は東芝メディカルシステムズAplioXG.症例は2012年1月から7月までにASQを施行した263例の内,ウイルス性肝炎,肝硬変と診断されている136例を除外した127例を対象とした.全例B-modeとASQを施行し,肝腎比陽性をFL群(82例),陰性をnon-FL群(45例)とし2群の背景,ASQの平均値(Cm2値)を検討した.Cm2値と生化学的検査(T-cho,LDL-cho,HDL-cho,TG,AST,ALT,γ-GTP,FBS,HbA1C,Plt)について相関係数を検討した.又,FL群をFIB-4 indexで層別化しCm2値との相関を検討した.【結果】背景は男性76例,女性51例,年齢の中央値は52歳(16歳-83歳).FL群:non-FL群では,AST,ALT,γ-GTP,ALP,T-cho,LDL-cho,TG,FBS,HbA1cがFL群で有意に高値,HDL-choがFL群で有意に低値であった.Cm2値は,FL群が106±4,non-FL群が119±5と,FL群で有意に低下していた.ROC曲線を用いた脂肪肝の診断能の検討ではCut off値111とした場合,感度96% 特異度98% 曲線下面積0.98351で良好であった.FL群のCm2値とALT,HbA1Cは有意な相関を示した.FL群のCm2値とFIB-4 indexの相関は認めなかった.【結語】ASQは脂肪沈着による肝実質の微細な変化を客観性をもって定量的に診断でき早期診断や治療効果判定に有用である可能性があると考えられた.脂肪性肝疾患の線維化診断についてはASQのみでは困難であった.
索引用語