セッション情報 シンポジウム2

肝画像診断の最前線

タイトル S2-8:

肝細胞癌に対するSorafenib治療の効果判定基準の比較―多施設共同班研究より―

演者 荒井 邦明(金沢大学消化器内科)
共同演者 山下 竜也(金沢大学消化器内科), 金子 周一(金沢大学消化器内科)
抄録 【目的】今回我々は腫瘍径の変化のみを評価するRECISTと,血流評価も加味したmodified RECIST,RECICLを用いて肝細胞癌に対するSorafenibの治療効果判定を行い,治療継続ならびに予後予測における意義に関して比較検討を行った.【方法】2011年11月の間,班研究に登録された全国16施設のSorafenib治療を開始した肝細胞癌459症例のうち,治療効果,予後解析が可能な268症例を対象とした.男性/女性:216/52例,HBs-Ag陽性64例(23.9%),HCV-Ab陽性151例(56.3%),高度脈管侵襲63例(23.5%),遠隔転移132例(49.3%),Sorafenib開始量800mg/日は207例(77.2%)であった.治療効果判定基準として,RECIST ver 1.1,Modified RECIST ver 1.0(mRECIST),RECICLを用いた.【成績】RECIST,mRECIST,RECICLによる最良治療効果は,それぞれCR/PR/SD/PD 0.4/7.1/48.1/44.4,2.2/11.2/42.2/44.4,2.6/11.6/39.9/45.9(%)であった.生存期間中央値はどの効果判定でも制御群(CR+PR+SD)と非制御群(PD)の間で層別化可能であった(RECIST:19.9 vs 6.3,mRECIST:16.5 vs 6.1,RECICL:16.5 vs 6.1).RECISTとmRECIST,RECICLの判定一致率はそれぞれ91.4%,88.8%であった.RECISTにてPDと診断するも血流評価を加味したmRECIST,RECICLにてSD判定はそれぞれ2例(1.7%),2例(1.7%)のみであった.RECIST SD症例中mRECIST,RECICLにてPR症例はそれぞれ16例(12.5%),18例(14.6%)であったが,mRECIST,RECICL PR症例とSD症例の生存期間に有意差は見出せなかった.【結論】各治療効果判定基準間の一致率は約9割と高く,またいずれの判定基準を用いても,Sorafenib症例の予後を良好に層別化することが可能であった.そのため測定が簡便なRECISTでの判定でも臨床上十分と考えられたが,今後血流変化の臨床的意義を更に探索していきたい.
索引用語