セッション情報 シンポジウム2

肝画像診断の最前線

タイトル S2-9:

超音波検査による肝細胞癌の腫瘍因子の評価

演者 小川 眞広(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科分野)
共同演者 森山 光彦(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科分野), 杉谷 雅彦(同病理学教室)
抄録 【目的】肝癌に対する画像診断には現在,超音波検査,CT,MRI検査などが挙げられるが,空間分解能の高い超音波検査はさらに第2世代の超音波造影剤sonazoidを用いた検査の導入により極めて時間分解能の高い血流診断も可能とし,さらに磁気センサーを用いた他画像との統合画像診断なども可能となりもはやスクリーニングでは無く精密検査としての位置づけも担うようになっている.これにより組織学的所見を反映した診断が可能になると考え,今回我々は,超音波検査による肝細胞癌の腫瘍因子の評価を切除症例の組織学的評価と比較したので報告する.
【方法】対象は2007年1月から2012年4月までに術前に超音波検査が施行され切除が施行された肝細胞癌54症例64結節である.使用装置はGEヘルスケア社製LOGIQ E9,使用探触子C1-5,9Lである.B-modeの評価に続き,経静脈性超音波造影剤sonazoid0.5ml/bodyを用いて造影超音波検査を行った.病理組織学的検討は肝臓腫瘍肉眼分類,腫瘍被膜の有無,厚さ,被膜外浸潤の有無,組織分化度診断および腫瘍内の割合について行い,超音波検査の画像と比較を行った.
【結果】平均腫瘍径25mm(6~75mm),高分化型肝細胞癌18.5%,中分化型肝細胞癌68.5%,低分化型肝細胞癌13.0%である.腫瘍肉眼分類および平均腫瘍径は,小結節境界不明瞭型7.4mm,単純結節型23.6mm,単純結節周囲増殖型31.5mm,多結節癒合型24.8mm,浸潤型37.5mmである.腫瘍分化度の評価は中分化型で最も強く濃染し腫瘍濃染の程度と血管構築による評価が優れ,腫瘍肉眼分類においてはpost vascular phaseの腫瘍輪郭の評価が最も適していた.被膜の有無は濃染パターンに影響を与えていた.
【結論】超音波検査は高分解能で肝細胞癌の病理所見を反映した腫瘍因子の評価が可能で治療選択をする上の精密検査として有用であると考えられた.
索引用語