セッション情報 シンポジウム2

肝画像診断の最前線

タイトル S2-10:

肝切除時における術中造影超音波の役割

演者 佐藤 公太(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科)
共同演者 田中 真二(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科), 有井 滋樹(浜松労災病院)
抄録 【目的】今回,我々は肝細胞癌(HCC)に対する肝切除時における術中Sonazoid造影超音波(CEIOUS)の有用性を1)術前画像検査との検出能,診断能および診断精度の比較,2)腫瘍血管像に対する臨床病理学的解析,により検討したためここに報告する.
【方法】1)2007年8月から2008年12月までのHCC切除症例中,術前血管造影CT(Angio-CT)とCEIOUSを施行した52症例を対象とし,その検出能,診断能および診断精度を比較検討した.また,2010年1月から2012年3月までのHCC切除症例中,術前EOB-MRIとCEIOUSを施行した74症例を対象とし,その検出能・診断能を比較検討した.
2)2007年8月から2010年3月までのHCC切除症例中,CEIOUSにてmicro flow imaging(MFI)を施行した135例を対象とし,腫瘍血管像分類および臨床病理学的解析を施行した.
【成績】1)Angio-CTと比較した52症例に関しては,病理組織にて94結節がHCCと診断され,HCC陽性率はAngio-CTで91.6%(76/83結節),CEIOUSで91.2%(83/91結節)であった.また,検出能,診断能,診断精度は,Angio-CT:87.4%:82.9%:85.9%,CEIOUS:95.4%:80.5%:90.6%であった.EOB-MRIと比較した72症例に関しては,EOB-MRI陽性・CEIOUS陰性は9症例・11結節で認められ,病理組織にて2結節がHCCと診断された.また,EOB-MRI陰性・CEIOUS陽性は2症例・2結節で認められ,2結節とも病理組織にてHCCと診断された.2)HCCの腫瘍血管像を,reticular群26例,thunderbolt群56例,対象外53例に分類し,reticular群とthunderbolt群にて臨床病理学解析を施行した.術前AFP値(20≧)(p=0.0003),腫瘍径(p=0.0048),分化度(p=0.0004),門脈侵襲(p<0.0001),TNM Stage(p>0.0001),無再発生存率(p=0.0193),全生存率(p=0.0362)で有意差を認め,thunderbolt群で悪性度が高いことが示された.
【結論】術前画像検査と比較し,検出能,診断精度においてCEIOUSの有用性が示された.また,CEIOUSによる血管構造評価はHCCの質的診断に有用である可能性が示された.
索引用語