セッション情報 シンポジウム2

肝画像診断の最前線

タイトル S2-11:

肝癌術前画像診断による標的結節悪性度予測の有用性の検討

演者 川村 祐介(虎の門病院肝臓センター)
共同演者 小林 正宏(虎の門病院肝臓センター), 池田 健次(虎の門病院肝臓センター)
抄録 【目的】これまでにDynamic-CT造影における“不整リング状濃染”が“低分化型HCC”の予測に有用であり,かつラジオ波凝固療法(RFA)施行時には腫瘍の進行再発と関係することを報告している.今回,従来のDynamic-CT造影パターンによる悪性度評価に加え,EOB-MRI Hepatobiliary phase(HBP)での肉眼型予測につき検討を行った.
【対象・方法】2008年2月より2010年12月までに治療前Dynamic-CTにて単発・3cm以下のHCCと診断され,かつHBPの撮像が施行された,初回治療例97例(肝切除42例,RFA55例)を対象とした.Dynamic-CT造影パターンについては,Type-1:乏血性,-2:均一多血,-3:不均一多血,-4:不整リング状と分類.HBPにおける予測肉眼型は,単純結節型(SN),SN以外の肉眼型(Non-SN)に大別.対象の背景:肝切除/RFA症例ではそれぞれ肝予備能ではChild-Pugh A 98%/95%,以下中央値で示すが,腫瘍径20/14mm,AFP 9.3/13.5ug/L,PIVKA-II 26.0/19.5AU/L.
【成績】(1)肝切除例での造影パターン及び肉眼型の分布:治療結節の造影パターンの分布は,Type-1;17%,-2;48%,-3;18%,-4:17%.予測肉眼型はSN;57%,Non-SN;43%.(2)HBPにおける肉眼型予測率:感度/特異度はそれぞれ,SN79%/72%,Non-SN72%/79%であった.(3)造影パターンと予測肉眼型の組み合わせによる低分化型HCC検出率:低分化型HCCの頻度は,Type-1 and Non-SNで0%,Type2-3 and Non-SNで0%,Type-4においては予測肉眼型(Non-SN)と組み合わせることにより予測率は57%から67%に増加した.(4)RFA例における造影パターン及び肉眼型の分布と同亜区域再発率:中分化以上の分化度が予測されるType-2(40%),-3(7%),-4(5%)につき,治療後の同亜区域再発率につき予測肉眼型とあわせ検討した結果,Type-2,-3 and Non-SNには同亜区域再発を認めなかったが,Type-4ではType-4 and SNで50%,Type-4 and Non-SNで100%同亜区域再発を呈していた.
【結語】Dynamic-CT造影パターンとHBPによる予測肉眼型を組み合わせることにより,より高い確率での高悪性度結節の抽出が可能となると考えられた.
索引用語