セッション情報 シンポジウム2

肝画像診断の最前線

タイトル S2-12:

手術中肝腫瘍同定困難例に対するICG蛍光肝臓手術ナビゲーションの有用性

演者 海堀 昌樹(関西医科大学外科)
共同演者 松井 康輔(関西医科大学外科), 權 雅憲(関西医科大学外科)
抄録 【はじめに】ICG蛍光法は術中の肝区域染色や胆道造影の他,ICG試薬の術前投与により,肝腫瘍にICGが取り込まれる特性より,微小な肝癌を術中に特定するのに有用とされる.今回,最近2年間に当科で経験した術中視触診および腹部エコー(US)において腫瘍の同定が困難であった肝腫瘍症例をICG蛍光法により腫瘍部位特定が可能であった数例を経験したので報告する.【対象および結果】TACEおよび局所凝固療法治療後の再発肝細胞癌症例3例,大腸癌術後化学療法奏効後の転移性肝癌症例3例,肝内胆管細胞癌2例,術前CT検査で指摘されなかった肝表面存在肝癌症例2例が,腫瘍の同定にICG蛍光法が有用であった.全例手術1~2週間前に肝機能検査としてICG試薬の静脈内注射を行なった.カメラはPDE赤外線カメラ(浜松ホトニクス社)を使用した.TACEおよび局所凝固療法治療後の再発肝細胞癌症例においては視触診およびUSにおいて再発肝癌部位の腫瘍同定は困難であったが,PDEカメラ使用により肝表面腫瘍の蛍光発色が明瞭に描出された.しかし実質切離中においては前治療による瘢痕組織にも蛍光発色が認められた.化療後転移性肝癌では化療により転移巣が縮小しても,PDEカメラ使用により明確に腫瘍部位特定は可能であったが,腫瘍壊死もしくは腫瘍細胞残存の質的診断は不可能であった.胆管細胞癌においては,USで胆管拡張は確認できるが腫瘍辺縁が不明瞭であった.PDEカメラ使用により腫瘍を含めた胆管拡張部に蛍光発色が明瞭に描出された.【考察】肝癌に対する前治療後の術中視触診およびUSにおいて腫瘍同定困難な症例に対して,PDE赤外線カメラを用いたICG蛍光法を用いることにより腫瘍部位は明瞭な蛍光発色を呈した.胆管細胞癌における報告はこれまで少ないが,ICG蛍光法による腫瘍描出機序としては,胆汁うっ滞をきたすことにより担癌肝区域として描出される.よって同手法は切除術式の選択を含めた肝臓手術ナビゲーションとして有用であった.
索引用語