セッション情報 シンポジウム3

NAFLD/NASHの病態解明と治療への展開

タイトル S3-2:

非アルコール性脂肪性肝疾患における肝線維化とPNPLA3遺伝子多型

演者 安居 幸一郎(京都府立医科大学消化器内科)
共同演者 伊藤 義人(京都府立医科大学消化器内科), 岡上 武(大阪府済生会吹田病院)
抄録 【目的】ゲノムワイド関連解析から染色体22q13に座位するPNPLA3の遺伝子多型と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD),特にMatteoni type 4が強く関連することを明らかにした(PLoS One,2012).本研究ではNAFLDにおける肝線維化とPNPLA3遺伝子多型の関連について検討した.
【方法】済生会吹田病院と京都府立医大消化器内科で肝生検NAFLDと診断した253例を対象とした.肝線維化なし100例,有り153例(Brunt stage 1/2/3/4/がそれぞれ73/32/37/11例)であった.PNPLA3遺伝子領域のマーカーrs738409についてTaqMan PCR法でジェノタイピングを行った.TaqMan PCRは京都大学ゲノム疫学解析センター(松田文彦先生,川口喬久先生)と京都府立医科大学消化器内科で実施した.
【結果】rs738409のジェノタイプはC/Cが42例,C/Gが111例,G/Gが100例であった.肝線維化なしではC/C,C/G,G/Gがそれぞれ24/47/29例,Brunt stage 1では9/36/28例,stage 2では3/12/17例,stage 3では4/10/23例,stage 4では2/6/3例であった.rs738409のジェノタイプは肝線維化の有無と関連があった(Gがリスクアレル).しかし,肝線維化がある症例において,線維化の程度には関連が見られなかった.なお,肝線維化がある症例のうち糖尿病の合併がない症例でG/Gの頻度が有意に高かった.
【結論】NAFLDにおける肝線維化にPNPLA3遺伝子多型が関連すると示唆された.
索引用語