セッション情報 |
シンポジウム3
NAFLD/NASHの病態解明と治療への展開
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タイトル |
S3-3:NASH肝線維化に影響を及ぼす耐糖能異常の病態解析
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演者 |
小野 正文(高知大学消化器内科学) |
共同演者 |
羽柴 基(高知大学消化器内科学), 西原 利治(高知大学消化器内科学) |
抄録 |
【目的】NASHにおける肝線維化進展は肝硬変のみならず肝癌発症への重大なリスク因子であるため,肝線維化進展抑制は重要な治療目標の一つである.一方,耐糖能異常はNASH発症の重要な背景病態であるが,日本人患者の約3分の1がインスリン抵抗性を有さないなど,耐糖能異常の病態の詳細については明らかではない.今回我々は,NASH患者における耐糖能異常の詳細を解析するとともに,治療への展望を検討したので報告する.【方法】肝生検を行ったNASH患者のうち,75gOGTTを含む耐糖能異常の各項目(HbA1c,1,5-AGなど)および血液生化学検査を施行した100名について,肝線維化進展に影響を及ぼす耐糖能異常の病態・因子について検討を行った.また,肝線維化非進展群(F0-2)と線維化進展群(F3-4)のそれぞれ10名ずつについて24時間血糖測定(CGMS)を行い,血糖変動の特徴などについて検討を行った.【結果】肝線維化別にNGT,IGT/IFG,DM患者割合を検討したところ,線維化進展群ほどDMと診断されたNASH患者の割合が増加していた.また,線維化進展群ほどHbA1cが高値で,HOMA-IRも上昇する傾向であった.さらに,75gOGTTによる血糖値,インスリン値の変動パターンにおいては,血糖値,インスリン分泌量ともにそのAUCは線維化進展群ほど高値であった.また,血糖変動との関連を検討したところ,1,5-AGは肝の線維化が進展するに従って低下していた.その詳細を確認する目的で,CGMSにて24時間の血糖変動を検討したところ,線維化進展群ほど血糖の日内変動が大きいことが明らかとなった.【結論】耐糖能の悪化,特にDMへの進展がNASH肝の線維化進展に影響を与えていることが明らかになった.さらに,血糖の日内変動の大きさが肝線維化進展に影響を与えている事が示唆された.血糖変動を緩やかにし,インスリン分泌抑制およびDMへの進展を抑制することでNASH肝の線維化進展に好影響を与える可能性が示唆された. |
索引用語 |
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