セッション情報 シンポジウム3

NAFLD/NASHの病態解明と治療への展開

タイトル S3-8:

Liraglutideとの比較からみたDuodenal-Jejunal Bypassの糖尿病/NASH改善効果に関する実験的研究

演者 柏原 秀也(徳島大学消化器・移植外科学)
共同演者 松本 規子(徳島大学消化器・移植外科学), 島田 光生(徳島大学消化器・移植外科学)
抄録 【背景】我々はこれまでにSD ratを用いてDuodenal-Jejunal bypass(DJB)の糖尿病(DM)改善効果は回腸の胆汁酸吸収増加がL細胞を増加させGLP-1分泌を上昇させることによると発表した(第98回消化器病学会).また近年ではGLP-1がNASH改善効果も有すると報告されている.今回DJBが肥満DM ratにおいてもSDratと同様の効果があることを確認し,同術式がNASH改善効果も有しGLP-1投与を凌駕する可能性があるという興味ある知見を得たので報告する.【方法】OLETF ratをDJB群(D群n=4),開腹のみのSham群(S群n=4),GLP-1アナログ製剤であるLiraglutide投与群(L群n=4)に分け,毎週体重測定を行い,術後8週でOGTTを施行,全血・小腸・肝臓を採取し,各群の小腸・大腸におけるGLP-1分泌細胞(L cell)を免疫染色にてcount.さらに3群間で肝NASH grading(Brunt分類)を比較.【結果】体重増加抑制効果についてはD>L>S群の順に大きかった.D・L群におけるOGTT30,60,120分の血糖はS群と比較し有意に低値であり,insulin抵抗性の改善を認めた(D,L群では差なし).D群の胆汁酸は他2群に比し有意に高値を示しており,GLP-1値(15,30分)も高値を示していた.D群の回腸L cell数は他2群と比較し有意に増加.また,D群のAST,FFA,ヒアルロン酸は他2群と比較し有意に低値を示し,S群のNASH gradingがGrade3(severe)であったのに対しL群:Grade2(moderate),D群:Grade1(mild)であり,DJBにはNASH改善効果も有することが示された.【結語】DJBはLiraglutide投与と比較してDM改善効果は同等であるが,体重増加抑制効果だけでなくNASH改善効果も有しており,Liraglutideを凌駕する可能性がある.
索引用語