セッション情報 シンポジウム3

NAFLD/NASHの病態解明と治療への展開

タイトル S3-9:

カロテノイドによるNASHの進展抑止~その抗炎症作用特性の解明~

演者 太田 嗣人(金沢大学脳・肝インターフェースメディシン研究センター)
共同演者 Ni Yinhua(金沢大学脳・肝インターフェースメディシン研究センター), 金子 周一(金沢大学大学院消化器内科)
抄録 【目的】我々は,肥満や内臓脂肪蓄積という個体の脂質過剰病態を反映したlipotoxic NASHモデルを作成し,NASHの進展にインスリン抵抗性や過剰なストレス応答が関与することを報告してきた.しかし,近年のRCTの成績では,インスリン抵抗性改善薬でさえ抗酸化剤に比し有効性は乏しく,NASHの薬物治療は未だに確立されていない.今回,身近な食品由来のカロテノイドの生体調節機能のうち,アスタキサンチン(AX)とβ-クリプトキサンチン(CX)の抗炎症作用に着目し,lipotoxic NASHモデルに対するカロテノイドの有効性を評価し,免疫学的作用機構を解析した.【方法】7週齢のC57/BL6マウスに高コレステロール高脂肪食(CL),AX混餌CL食(CL+AX),CX混餌CL食(CL+CX)を12週間投与後,肝組織を摘出し,DNAマイクロアレイによる発現遺伝子解析,FACSによる免疫学的解析を行った.【成績】CL群では,食餌負荷8週後に高インスリン血症を呈し,肝臓には脂肪化と炎症を,12週後に線維化を生じ,インスリン抵抗性を合併するNASHモデルであることを確認した.2種のカロテノイド(AX,CX)により共に,CL群の肝TG含量と過酸化脂質の蓄積は減少する一方,インスリンシグナルは亢進し,JNK・p38MAPK,NFκB等の炎症・ストレス応答の減弱を伴っていた.さらに,星細胞の活性化とhydroxyprolineにより定量化した線維化は抑制された.AXとCXに共通して脂肪酸酸化遺伝子群の発現は増加したが,AXはCXに比し脂肪酸合成遺伝子群の発現を強く抑制した.一方,CXはAXに比し,T細胞やマクロファージのシグナル関連遺伝子群の発現抑制が増強した.さらにFACS解析から,CXにより炎症抑制性M2-typeマクロファージ数が増加しており,肝臓マクロファージ/Kupffer細胞の極性シフトという自然免疫への直接作用が示唆された.【結論】AXとCXはカロテノイドに共通および固有な作用機構によりNASHの進展を抑止し,NAFLD/NASHの予防に有望な新たなNutraceuticalとして期待される.
索引用語