セッション情報 シンポジウム4

肝疾患における金属代謝研究の進歩

タイトル S4-9:

脂肪肝マウスにおけるBMP6発現変化を介した鉄代謝調節異常

演者 大竹 孝明(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科)
共同演者 長谷部 拓夢(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科), 高後 裕(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科)
抄録 【目的】慢性肝疾患における鉄過剰症の一部はHepcidin(Hepc)の発現異常で説明されているが,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における鉄過剰症に関しては一定の見解がない.Hepcの発現調節系としてはトランスフェリン受容体からのシグナル,IL-6R-Stat系シグナル,BMPR-Smad系シグナルの3つが主である.我々はこれまでマウス脂肪肝においてHepc発現低下を報告してきたがそのメカニズムは不明である.今回,脂肪肝モデルマウスにおいてHepc発現調節の主要ファクターであるBMP-6の発現について検討した.【方法】ob/obマウスまたは高脂肪食負荷の肥満・脂肪肝モデルマウスに関して検討した.マウスから肝臓,小腸組織および血漿を採取した.肝組織におけるHepc mRNAを定量的PCR法により,血清中活性型Hepc濃度を液体クロマトグラフタンデムマススペクトロメトリー法により測定した.肝臓および腸管のBMP-6 mRNA発現を定量的PCR法で,蛋白発現を免疫蛍光染色で評価した.また,肝組織のリン酸化Smadをウェスタンブロット法で検討した.【成績】ob/obマウスおよび高脂肪食負荷マウスともに肝組織中のHepc mRNA発現および血清活性型ペプチド濃度は有意に低下していた.肝組織および小腸におけるBMP-6 mRNA発現も有意に低下していた.免疫蛍光染色では陰窩付近の腸管細胞にBMP-6発現を認め,ob/obマウスで発現が低下していた.さらに肝組織内のリン酸化Smadが減少していた.【結論】ob/obマウスおよび高脂肪食負荷マウスにおいて,肝臓および小腸におけるBMP-6発現異常がHepc発現抑制の原因の一つであることが示唆された.Hepc発現の調節系として重要とされているBMPの発現異常が脂肪肝の鉄代謝調節異常に関与している可能性が示唆された.
索引用語