セッション情報 シンポジウム5

食道表在癌に対するESD+α療法の治療成績

タイトル S5-1:

当科での食道MM以深SCCに対するESD+αの治療法の検討

演者 船川 慶太(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 佐々木 文郷(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【背景】MM/SM1癌はリンパ節転移が15%,SM2癌では50%のリンパ節転移率があり,ESD後追加治療が必要である.また3/4周性以上切除の場合,狭窄の可能性があり,さらに追加CRTを施行した場合,線維化によりさらなる狭窄が懸念される.【目的】MM以深SCCに対するESD+αの治療法の検討.3/4周性以上切除かつ追加CRT症例に対するトリアムシノロン局注療法(ETI)の有効性についての検討.【対象と方法】2009年1月~12年8月まで当科でESDを施行した食道SCC84例/109病変の内,MM以深27例を対象とし,追加治療・予後について検討を行った.MM癌で脈管侵襲陽性・INFc,SM1以深癌は基本的に追加治療の方針とした.また当科では2010年12月以降,3/4周性以上切除の26症例に対してETIを施行した.ETI-CRT群(ETI施行かつCRT施行)とETI-非CRT群の2群間での狭窄率・Balloon拡張回数について検討した.【結果】MM以深癌27例の内15例(MM;5/16例,SM1;3/4例,SM2;7/7例)で追加治療施行し,全例でCRTを選択した.予防的CRT症例は14例で,全例再発なし(平均経過観察期間14ヶ月).しかし1例で再発を認めた.ESD後病理では,MM・脈管侵襲陰性・INFbであり,厳重経過観察したが,ESD7ヶ月後にCTで縦隔にリンパ節腫大を認め,EUS-FNAにてNETの診断であった.病理標本を深切り再検討し,深達度MMのNETでly1と判明した.追加CRT行うもESD16ヶ月後に原病死した.ETI-CRT群6例中2例(33%)で狭窄あり,拡張回数は平均0.17回であった.ETI-非CRT群20例中7例(35%)で狭窄あり,拡張回数は平均1.1回であった(平均観察期間12ヶ月).2群間で狭窄率・拡張回数に有意差を認めなかったが,ETI-CRT群で狭窄率・拡張回数が少ない傾向があった.【結論】ESD後の追加治療としてCRTは有用である.また,3/4周性以上切除し,CRTを追加した症例に対しても狭窄予防としてETIは有効である.
索引用語