セッション情報 シンポジウム5

食道表在癌に対するESD+α療法の治療成績

タイトル S5-2:

食道T1a-MM,T1b癌に対する内視鏡治療及び追加治療の検討

演者 池田 篤紀(神戸大学消化器内科)
共同演者 奥野 達哉(神戸大学消化器内科), 森田 圭紀(神戸大学消化器内科)
抄録 【目的】食道T1a-MM,T1b癌に対する内視鏡治療(ER:EMR/ESD),+α治療の有用性を検討する.【対象と方法】対象は2002年1月~2010年1月にcN0と診断しERを施行した57例.追加治療は1)T1a-MM,T1b‐SM1では切除断端か脈管侵襲陽性,低分化型例,2)T1b‐SM2以深は全て治療適応とした.追加治療適応だが治療を希望しなかった症例は経過観察(ER単独群)とした.追加治療は手術またはCRT/RTのいずれかをER後2か月以内に施行.予後と転移再発因子について後方視的に検討.【結果】年齢中央値71(47-88)歳,男/女:51/6,部位UT/MT/LT-Ae:2/40/15,分化度 高/中/低:8/46/3,腫瘍径中央値21mm(6-58),R0切除率82.5%(47/57),周在3/4以下/以上:40/17で観察期間中央値40(3-101)か月.深達度別に1)T1a-MM・SM1 40例(MM24,SM1 16),2)SM2以深17例であった.1)40例のうち追加治療適応12例(断端陽性5,脈管侵襲陽性10)だったが,追加治療として手術9例,CRT/RT5例の計14例に施行された.追加治療例は全例無再発を得ていたが手術関連死亡を2例認めた.またER単独群の3例にリンパ節再発(10,30,31か月後)と1例に肺転移再発(6か月後)を認め,いずれも救済治療で生存,経過観察中.他病死は4例認めた.3生割合はER単独96%,+α治療83.3%で,転移再発率はER単独15.3%,+α治療0%.2)17例のうち4例で追加手術,7例にCRT/RTが施行され1例を除き無再発で経過中.再発の1例は断端,脈管侵襲陽性で追加CRT後に照射範囲内リンパ節再発を認め,救済手術にも関わらず治療開始18か月で原病死した.ER単独群のうち1例にリンパ節再発を認め救済手術で生存経過中.また他病死3例を認めた.3生割合はER単独66.7%,+α治療81.8%で転移再発率はER単独16.7%,+α治療9.1%.ER後の転移再発リスクの単変量,多変量解析では低分化型,腫瘍径が有意な因子であった.【結論】ER,+α治療の予後は良好であったが適応と方法については前向き多施設共同試験結果も踏まえた検討が必要と思われる.
索引用語