セッション情報 シンポジウム5

食道表在癌に対するESD+α療法の治療成績

タイトル S5-3:

食道表在癌に対するESDと追加治療の現状

演者 土田 知宏(がん研有明病院消化器内科)
共同演者 石山 晃世志(がん研有明病院消化器内科), 藤崎 順子(がん研有明病院消化器内科)
抄録 【背景】食道表在癌に対しESDが行われるようになり,詳細な病理評価が可能となったがESD後の予後に関する報告はまだ少ない.深達度T1a-MMおよびT1b-SM1癌では10~20%のリンパ節転移があり,これらはESDの相対適応とされている.また,病理評価によりT1b-SM2以深の適応外病変が含まれる機会も増えている.【目的】相対適応や適応外病変であった場合には追加治療を行う必要性が生じるが,その条件を調べるために,当院におけるESD後の追加治療の現状について検討を行った.【対象】当院においてESDを行った225症例中当院で経過観察を行っている,深達度T1a-MM癌39例とT1b-SM1癌3例,T1b-SM2癌8例を対象とし,リンパ管浸襲,浸潤形式,追加治療の有無および予後について検討した.【結果】T1a-MM癌39例中6例(15%)にリンパ管侵襲を認め,6例(15%)に滴状浸潤(DI)を認めた.3例はいずれも陽性であった.1例にCRT,1例に手術が追加施行され,他の9例は経過観察されたが再発を認めなかった.リンパ管侵襲陰性かつDI陰性の30例は追加治療を行わず経過観察されたが,1例にリンパ節再発が認められた.SM1癌3例にはリンパ管侵襲は認められずDIも陰性であった.1例にCRTが追加施行され,2例は経過観察された.いずれも無再発生存中である.SM2癌8例中3例(38%)にリンパ管侵襲を認め,2例(25%)にDIを認めた.追加治療として4例に手術,2例にCRTを行い無再発生存中である.2例は高齢のため経過観察された.【結語】T1a-MM癌やT1b-SM1癌に対しては,臨床的に転移がない場合はESDによる一括完全切除を施行し,追加治療の要否を判定すべきと思われた.T1b-SM2癌は,どんな追加治療を選択するかが検討課題ではあるが,ESD適応が拡大される可能性はあると思われた.
索引用語