セッション情報 シンポジウム5

食道表在癌に対するESD+α療法の治療成績

タイトル S5-6:

食道T1a-MM,T1b-SM1癌に対する内視鏡的治療及び追加治療の有用性の検討

演者 堀 圭介(岡山大学病院光学医療診療部)
共同演者 河原 祥朗(岡山大学病院光学医療診療部), 岡田 裕之(岡山大学病院光学医療診療部)
抄録 【背景】T1a-MM,T1b-SM1癌は脈管浸潤によるリンパ節転移の有無の診断により内視鏡治療後追加治療の選択が議論されているが,未だ十分なコンセンサスが得られていない.【目的】T1a-MM,T1b-SM1癌に対する内視鏡的治療,及び内視鏡的治療後の追加治療の有用性を検討する.【対象】1999年2月より2012年9月まで当院にて内視鏡的治療又は手術を施行した食道T1a-MM,T1b-SM1癌84症例.【方法】手術施行症例において脈管侵襲の有無によるリンパ節転移の有無を検討した.又,内視鏡的治療単独群,内視鏡治療後放射線療法又は化学療法追加群(EMR/ESD+α),内視鏡治療後手術又は手術施行群の予後を比較した.【結果】T1a-MM 65症例,T1b-SM1 19症例であり,脈管侵襲陽性23症例であった.39症例に対しEMR/ESD単独,11症例に対しEMR/ESD+α,34症例に対し手術又は内視鏡的治療後手術を行った.観察期間中央値は52.1ヶ月(1.2ヶ月-150ヶ月)であった.手術施行症例34例中,脈管侵襲陰性23症例にあけるリンパ節転移陽性症例は認められず,脈管侵襲陽性症例11症例中,5症例(45.5%)にリンパ節転移を認めた.3年生存率はEMR/ESD単独症例91.7%,EMR/ESD+α100.0%,手術施行症例90.9%であった(追跡率94.0%).5年生存率はEMR/ESD単独症例86.6%,EMR/ESD+α100.0%,手術施行症例84.0%であった(追跡率84.6%).リンパ節転移再発症例をEMR/ESD+αに一例認め,追加手術を行ったが原病死は各群とも認められていない.【結論】T1a-MM,T1b-SM1癌に対する内視鏡的治療,及び内視鏡的治療後の追加治療は有用である.追加治療適応の判定基準として正確な脈管侵襲の判定が重要である.
索引用語