セッション情報 シンポジウム5

食道表在癌に対するESD+α療法の治療成績

タイトル S5-7:

MM以深の表在食道扁平上皮癌に対する集学的治療の成績

演者 飯塚 敏郎(虎の門病院消化器内科)
共同演者 菊池 大輔(虎の門病院消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院消化器内科)
抄録 【目的】MM以深の表在食道扁平上皮癌に対して,ESDを先行した集学的治療が行われている.しかしその長期成績や追加治療別の治療成績など明らかになっていない点も多い.そこで今回追加治療別の成績を明示することを目的とした.【対象】2005年4月から2010年12月までにESDを施行し,組織学的にMM以深である扁平上皮癌症例117症例を対象とした.ESD後の追加治療として外科的切除(S群)が21例,化学放射線療法(CRT群)が51例,化学療法が1例,無治療(F群)が44例であった.S群・CRT群・F群で臨床病理学的因子やその予後について比較検討を行った.【結果】S・CRT・F群それぞれ年齢は61.6歳,64.7歳,66.6歳,男性:女性は16:5,46:5,40:4,腫瘍長径は48.5mm,26.9mm,31.7mm,深達度(MM:SM1:SM2)は9:3:9,26:7:18,39:4:1,脈管侵襲の割合は81%,58.8%20.4%であった(S群の年齢・腫瘍長径・脈管侵襲の割合とF群のMMの割合で有意差が認められた).再発例はCRT群とF群それぞれ5例認められ,うち原病死がそれぞれ2例認められた.S群では1例も認められなかった.CRT群の再発例は,1例が照射野外で3例は照射野内リンパ節,1例は肝転移であった.観察期間の中央値はS・CRT・F群それぞれ49.1か月,43.7か月,47.9か月で,3年生存率は100%,93.6%,95%であった.S+CRT群とF群で比較すると,3年生存率は95.4%:95%,5年で85.5%:79%であった.【結論】ESD後の追加治療は,年齢が若く脈管侵襲やSM浸潤を有する症例では,外科治療を選択するケースが多く,浅く脈管侵襲がないケースでは無治療を選択されるケースが多かった.再発例は手術症例には認められなかった一方で,3例で照射野内リンパ節再発をきたした.照射量が適切であったかどうかの検討の余地があると考えられた.生存率には差が認められなかった.
索引用語