セッション情報 シンポジウム5

食道表在癌に対するESD+α療法の治療成績

タイトル S5-9:

食道表在癌ESD/EMR後追加治療としてのセンチネルリンパ節理論に基づいた化学放射線療法の有用性

演者 竹内 裕也(慶應義塾大学外科)
共同演者 冠城 拓示(慶應義塾大学外科), 北川 雄光(慶應義塾大学外科)
抄録 【目的】ESD/EMRによりpT1a-MM,pT1b-SM1と診断された食道表在癌に対する追加治療を決定するうえで,CTやEUSなどの画像評価や脈管侵襲等の病理結果を基にしたリンパ節転移予測はいまだ完全とは言えない.今回我々はセンチネルリンパ節(SN)理論に基づいたpT1a-MM以深食道表在癌の新しい治療戦略を検討した.【対象と方法】これまで当科でcT1N0,cT2N0食道癌根治手術症例約120例に対してradioisotope法によるSN生検を施行した.今回術中SN生検を施行したpT1食道癌70例の成績を検討した.またESD/EMR後追加治療の7例を含むcN0食道表在癌16例に対してリンフォシンチグラフィーによって描出されたSNを照射野に含めた化学放射線療法を施行した.【結果】SNは施行70例中66例(94%)で同定可能であり,胸腔鏡・腹腔鏡手術においても施行可能であった.リンパ節転移検出感度は91%,SNを指標としたリンパ節転移診断の正診率は97%であった.SNの分布を検討してみると頸部から腹部まで広範囲に分布していたが,SNを同定しえたpT1食道癌66例中56例(85%),とくにpT1a-MM,pT1b-SM1であった25例中23例(92%)はリンパ節転移なし,あるいはSNのみの転移であった.SNを照射野に含めた化学放射線療法16例は観察期間中央値77か月において全例リンパ節再発を認めなかった.【結論】pT1a-MM,pT1b-SM1食道表在癌においてもSNの分布は広範囲であった.しかしcN0のpT1a-MM,pT1b-SM1食道表在癌では大部分の症例でリンパ節転移はあってもSNのみに限定されることから,ESD/EMR後の追加治療としての化学放射線療法の個別的照射野設定にSN mappingが期待できると考えられた.
索引用語