セッション情報 シンポジウム6

HP除菌後の病態と対応

タイトル S6-1:

除菌治療前後の逆流性食道炎の症状と所見についての検討

演者 志賀 典子(ウェルネス天神クリニック)
共同演者 吉村 理江(ウェルネス天神クリニック), 中村 和彦(九州大学病態制御内科)
抄録 <目的>除菌治療による逆流性食道炎への影響に関しては未だ一定の見解が得られておらず,除菌治療による逆流性食道炎の悪化への懸念から除菌治療に踏み切れない症例も存在する.今回,除菌治療前後の胃酸の逆流症状に関するアンケート調査(Fスケール)を行った.<方法>対象者は211人(男性144人,女性67人),年齢は平均52.9歳(31歳~75歳).Fスケールへの回答は除菌効果判定として施行する呼気検査(除菌後2ヶ月以降,平均7.25ヶ月後)の際に記入して頂いた.(期間2010年3月~2010年12月).<結果>除菌治療前のスコア8点以上が55人,1点以上8点未満が108人,0点が45人,記入なしが3人であった.スコア8点以上の逆流性食道炎として陽性である症例のうちスコアが除菌治療後に悪化したのは5人(14.5%),変化なしが7人(12.7%),改善が43人(78.1%)であった.スコア1点以上8点未満の症例のうちでは,除菌治療後の悪化が27人(25.0%),変化なしが48人(44.4%),改善が78人(72.2%)であった.0点であった方のうち悪化が13人(28.9%),変化なしが32人(71.1%)であった.<結論>今回のアンケート(Fスケール)によると,もともと症状がある,なし,にかかわらず,除菌治療によって逆流性食道炎症状は改善する傾向が認められた.特に,スコア陽性と考えられる群では,8割近くの症例で除菌後にスコアが改善しており,悪化したのは15%であった.また,スコア陽性の症例における内視鏡検査所見は,ほとんどの症例ではロサンゼルス分類Grade0もしくはMであり,経過観察し得た症例では,除菌治療後の所見の増悪も認めなかった.除菌前後のスコアと合わせて内視鏡検査画像も提示して報告する.
索引用語