セッション情報 |
シンポジウム6
HP除菌後の病態と対応
|
タイトル |
S6-2:H. pylori除菌がSSBEの進展に及ぼす影響
|
演者 |
古田 隆久(浜松医科大学臨床研究管理センター) |
共同演者 |
杉本 光繁(浜松医科大学第一内科), 魚谷 貴洋(浜松医科大学第一内科) |
抄録 |
H. pyloriの除菌は胃酸分泌を改善し,その結果GERDの頻度が高まることが危惧されている.GERDの合併症にバレット食道がある.そこで,H. pyloriの除菌後にバレット上皮の進展が認められるかをレトロスペクティブに検討した.対象は2000年以前に当院にてH. pyloriの除菌療法が施行され,H. pylori除菌後経年的に内視鏡検査を施行され,10年以上の内視鏡検査所見が得られた24例である.SSBEの評価はプラハ分類を参考とし,柵状血管下端からSCJまでの最短距離C(cm)と最長距離M(cm)の推移を検討した.結果:H. pyloriの除菌後,C値は平均で,除菌前:0.31,除菌1~3年後:0.36,除菌4~6年後:0.56,除菌7~9年後:0.56,除菌10-15年後:0.54であり,M値は,除菌前:0.42,除菌1~3年後:0.64,除菌4~6年後:0.87,除菌7~9年後:0.86,除菌10-15年後:0.81であり,C値,M値の増加は共に除菌後数年以内に起こると考えられた.除菌前のヘルニアの有無で層別すると,食道裂孔ヘルニアを有さない症例では,C値は,0.14,0.25,0.45,0.36であり,M値は0.50,0.68,0.66,0.52と上昇し,食道裂孔ヘルニアを有する症例ではC値は0.56,0.50,0.70,0.70,0.81であり,M値は0.70,0.80,1.11,1.10,1.20であり,ヘルニアを有する場合で高い傾向を示し,いずれも除菌6年以内に有意に増加した.但し,除菌前にC値,M値ともに0であった16症例の内10例は10年後も0であった.LSBEにまで進展した症例は認めなかった.また,除菌後にも酸分泌抑制薬が処方された症例は16例に認められた.考案:H. pyloriの除菌はSSBEを増加させるがその変化は除菌後数年以内が顕著であるが,殆どが軽度である.また,この増加はヘルニアを有する症例で起こりやすい傾向を認めた.さらに例数を増加して報告する. |
索引用語 |
|