セッション情報 |
シンポジウム6
HP除菌後の病態と対応
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タイトル |
S6-3:Helicobacter pylori除菌10年後における胃粘膜の病理組織学的変化に関する検討
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演者 |
山崎 智朗(大阪市立総合医療センター消化器内科) |
共同演者 |
根引 浩子(大阪市立総合医療センター消化器内科), 平松 慎介(大阪市立総合医療センター消化器内科) |
抄録 |
【目的】2000年11月1日にHelicobacter pylori(HP)除菌療法が保険収載され,数多くの患者が除菌療法を受け,胃十二指腸潰瘍の発生・再発は減少した.除菌による病理組織学的な萎縮や腸上皮化生の改善には時間がかかると予想されるが,10年を超えた追跡報告は少なく,長期経過観察例の集積が必須である.今回,我々は,当院でHP除菌後10年以上経過した症例を対象として,除菌前ならびに除菌後の胃粘膜病理組織像の比較を行った.【方法】当院でHP除菌後10年以上経過し,除菌前後に前庭部大彎・胃体部大彎2点より生検を施行している症例を対象とし,その組織像をUpdated Sydney分類に基づきスコアリングし,除菌前後で比較を行った.検定はWilcoxon符号付順位和検定で行った.【成績】HP除菌後10年の経過が追えた患者は30人(除菌時平均年齢54.7歳,男:女=20:10)であった.除菌理由は胃潰瘍16例,十二指腸潰瘍10例,胃十二指腸潰瘍2例,早期胃癌のEMR後2例であった.平均観察期間は4761日であった.Updated Sydney分類スコアー(中央値,0:normal,1:mild,2:moderate,3:marked)は前庭部で炎症:除菌前:2,除菌後:1・活動性:除菌前;2,除菌後;0・萎縮:除菌前;1,除菌後;0.5・腸上皮化生:除菌前;1,除菌後;0.胃体部で炎症:除菌前;2,除菌後;1・活動性:除菌前;2,除菌後;0・萎縮:除菌前;0,除菌後;0・腸上皮化生:除菌前;0,除菌後;0であり,炎症・活動性・萎縮・腸上皮化生すべてにおいて前庭部,胃体部ともに有意に改善していた.【結論】HP除菌後10年で炎症や活動性だけでなく,萎縮や腸上皮化生においても改善が認められた.10年の経過を追えた症例は比較的若く,萎縮や腸上皮化生が進行していない症例が多いが,萎縮や腸上皮化生を認めた場合には,除菌によりそれらの改善が期待できる. |
索引用語 |
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