セッション情報 |
シンポジウム6
HP除菌後の病態と対応
|
タイトル |
S6-5:鳥肌胃炎症例のH.pylori除菌後経過の検討
|
演者 |
永田 豊(松山赤十字病院胃腸センター) |
共同演者 |
藏原 晃一(松山赤十字病院胃腸センター), 川崎 啓祐(松山赤十字病院胃腸センター) |
抄録 |
【目的】鳥肌胃炎症例におけるH.pylori(HP)除菌前後の臨床所見,内視鏡所見および病理学的所見の変化と除菌後の経過を明らかにすること.【方法】2004年10月から2012年8月までの7年10ヶ月間に当センターで鳥肌胃炎と診断した203例のうちHP除菌成功後,経過を観察できた112例を対象とし,その臨床,病理学的変化を遡及的に検討した.全例内視鏡検査を除菌前と除菌成功後に施行し以後,6-12ヶ月毎に経過観察を行った.内視鏡所見は鳥肌状小隆起,びまん性発赤,点状発赤,粘液付着,ヒダ腫大,びらん性胃炎の有無を,内視鏡的萎縮度は木村・竹本分類を用いて軽度,中等度,高度に定義し評価した.病理組織学的所見は検査施行時に胃前庭部大弯,体部大弯より2点生検を行いUpdate Sydney systemに基づいて4段階にスコア化し検討した.【成績】112例の背景は男性21例,女性91例,平均年齢39.8歳,除菌後観察期間は平均23.7ヶ月,除菌後内視鏡施行回数は平均2.3回であった.初診時68例(60.7%)に上腹部症状が認められたが除菌後54/68例(79.4%)で症状が消失した.内視鏡所見ではびまん性発赤,点状発赤,粘液付着,ヒダ腫大,鳥肌状小隆起は除菌後速やかに所見率が低下し除菌後の経過観察でも大きな変化はみられなかった.内視鏡的萎縮度は除菌前後で有意な変化はみられなかった.病理組織学的所見は好中球浸潤/単核球浸潤は除菌前に前庭部1.2/1.8,体部0.9/1.4であったが除菌後,前庭部0.03/1.0,体部0.02/0.90と有意に平均スコアが低下し(p<0.01),リンパ濾胞は前庭部のみで除菌前0.60,除菌後0.26と有意に低下していた(p<0.01).病理学的萎縮度,腸上皮化生については除菌前後で有意な変化はみられなかった.全ての項目で除菌後の経過で変化はみられなかった.除菌後の経過観察中(除菌3年7ヶ月後)に1例で胃癌(linitis plastic型胃癌)の発症を認めた.【結論】鳥肌胃炎症例はHP除菌後,多くで除菌前の症状が消失し内視鏡,病理学的に炎症所見は速やかに改善しその後も炎症所見の再燃はみられなかった.1例で除菌後胃癌を認めた. |
索引用語 |
|