セッション情報 シンポジウム6

HP除菌後の病態と対応

タイトル S6-6:

内視鏡および組織所見からみた鳥肌胃炎除菌後の経過

演者 鎌田 智有(川崎医科大学消化管内科学)
共同演者 塩谷 昭子(川崎医科大学消化管内科学), 春間 賢(川崎医科大学消化管内科学)
抄録 【背景と目的】鳥肌胃炎は胃粘膜に結節状隆起が均一に密集し,隆起の中心には陥凹した小白色斑点が認められ,病理組織学的には粘膜表層でのリンパ濾胞の形成が特徴である.また,鳥肌胃炎の発生とH. pylori感染との関連性は明らかであり,除菌により鳥肌胃炎は改善することが知られているが,その長期経過については不明な点も多い.今回,鳥肌胃炎の内視鏡および組織所見の推移を検討した.【対象と方法】過去7年間に当施設にて鳥肌胃炎と診断された123例(男性32例,女性91例,平均年齢32.1歳,7~74歳)のうち,除菌治療を施行し,少なくとも3年以上の経過観察(最長7年)が可能であった11例(男性1例,女性10例,平均年齢45.3歳,28~69歳,観察期間3年~7年,平均観察期間4年3ヵ月)を対象とした.これらに対して内視鏡観察時に通常観察に加え,色素散布を施行,一部の症例には画像強調観察や拡大観察も施行した.生検が可能であった症例には結節状隆起から生検標本を採取し,前庭部のリンパ球浸潤の程度(シドニー分類によるスコア;0-3)やリンパ瀘胞を評価した.なお,除菌後は尿素呼気試験にて全例で除菌成功を確認した.【成績】除菌前の通常観察では前庭部を中心に結節~顆粒状隆起を認め,これらは色素散布や画像強調観察にてより明瞭となり,隆起の中心には陥凹した小白色斑点が全例に認められた.除菌後の内視鏡による経過観察では鳥肌胃炎の内視鏡所見の改善が全例に認められた.除菌1年後には結節性変化は縮小するがわずかな隆起を示し,3年後には結節性変化はほぼ平坦となるが白色斑点は残存し,さらに5年後以降には白色斑点もほぼ消失し萎縮様粘膜となった.それに伴い前庭部リンパ球浸潤の程度は,除菌前2.7±0.15(平均±標準誤差),除菌1年後0.9±0.12,除菌3年後0.1±0.12,除菌5年後以降は0となり,その程度は有意に改善した(p<0.01).また,除菌3年後以降にはリンパ瀘胞も消失した.【結論】除菌後の長期経過にて鳥肌胃炎粘膜は内視鏡および組織所見共に改善することが示された.
索引用語