セッション情報 シンポジウム6

HP除菌後の病態と対応

タイトル S6-8:

H. pylori除菌時における除菌後発見胃癌の危険予測因子の解析

演者 兒玉 雅明(大分大学消化器内科)
共同演者 阿部 寿徳(有田胃腸病院), 村上 和成(大分大学消化器内科)
抄録 【目的】H. pylori除菌による胃癌抑制効果が判明しているが除菌後発見胃癌も少数でなく注意を要する.除菌後胃癌予測因子の解析が可能かを除菌成功例2000例以上を用い検討した.【方法】当院および有田胃腸病院にて1988から2010年まで除菌治療成功後追跡し得た2355例(男1514例,女841例)を解析,除菌時年齢,疾患,内視鏡的萎縮度,血清pepsinogen,前庭部大弯,体部大弯粘膜の組織学的所見を非胃癌群と胃癌群において比較,また性年齢を一致させた非胃癌群との多変量解析にて胃癌危険因子を検討した.【結果】2355例中除菌後胃癌発見症例は33例(男25例,女8例)であった.非胃癌群は除菌時平均年齢 52.5歳±13.5,胃癌群61.6歳±8.9と胃癌群が有意に高齢であった(P<0.001).除菌前に背景組織を採取し3年以上経過を経た非胃癌群473例と胃癌群22例では胃癌群で有意に男性が多く(P=0.0059),除菌時高齢であった(P<0.001).内視鏡的萎縮度は非胃癌群3.4±1.4,胃癌群4.7±1.3と胃癌群で有意に高値であった(P<0.001).組織所見にて非胃癌群と胃癌群では前庭部大弯で炎症2.3±0.6 vs. 2.5±0.7(P=0.042),萎縮1.4±0.8 vs. 2.0±0.9(P<0.001),体部大弯にて炎症2.0±0.6 vs. 2.3±0.7(P=0.019),IM 0.1±0.4 vs. 0.2±0.5(P=0.049)と胃癌群にて有意な高値を示した.性年齢を一致した非癌群66例と胃癌群22例では多重ロジスティック解析において内視鏡的萎縮がオッズ比(OR)2.20(95%CI 1.36-3.55),組織学的前庭部萎縮OR 3.26(95%CI 1.45-7.34),体部炎症OR 2.69(95%CI 1.01-7.26),体部IM OR 5.98(95%CI 1.27-28.10)であり,体部大弯のIMが胃癌群にて最も高いORを示した.【結論】除菌後発見胃癌の要因として除菌時年齢,内視鏡的萎縮度,前庭部大弯での組織学的炎症,萎縮,体部大弯での炎症,IMがあげられた.多変量解析では体部IMが高いORを示し,これらが除菌後胃癌予測因子となる可能性が示唆された.
索引用語