セッション情報 |
ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-
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タイトル |
肝W6-19:非アルコール性肝脂肪化におけるトリプトファンの影響
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演者 |
大澤 陽介(岐阜大・薬理病態学DELIMITER岐阜大・消化器病態学DELIMITER岐阜大・病態情報解析医学) |
共同演者 |
清島 満(岐阜大・病態情報解析医学), 森脇 久隆(岐阜大・消化器病態学) |
抄録 |
【目的】NAFLDは食事の欧米化、特に動物性脂肪の摂取により増加しているが、同時に摂取される動物性蛋白の与える影響についての研究は少ない。そこで、動物性蛋白に多く含まれる芳香族アミノ酸トリプトファンの肝脂肪化における影響を検討した。【方法】4週齢雄性マウス(C57BL/6J)に高脂肪食およびフルクトース含有水を与えて肝脂肪化を誘導し、さらにトリプトファン同時摂取による肝組織中性脂肪量、血清ALT値、線維化(collagen mRNA, Sirius red)、活性酸素産生(HNE染色)、mTOR活性、AKT活性、AMPK活性に対する影響を検討した。次に、肝脂肪化に関連するトリプトファン代謝経路や活性化因子を検討するため、Indoleamine 2,3-deoxygenase (IDO)およびAromatic amino acid decatoxylase (AADC)の強制発現、mTOR阻害剤(ラパマイシン)の効果を検討した。【成績】脂肪肝モデルにトリプトファンを併せて投与したマウスでは、対照群(BSA投与)と比べ肝脂肪化は増悪し、血清ALT値上昇、HNE発現増加、肝線維化の増加が認められた。トリプトファン投与により肝組織中のmTORのリン酸化は増加した。また肝脂肪化の増悪効果はセロトニン増加を伴うAADCの過剰発現にのみ認められ、さらにセロトニンは培養肝細胞においてmTORリン酸化を伴って脂肪酸添加による中性脂肪蓄積を増加した。これらのトリプトファンやセロトニンによる肝脂肪化の増強効果は、mTOR阻害剤であるラパマイシンにより抑制された。トリプトファンは絶食によるLC3凝集とp62分解を抑制したが、その効果はラパマイシンにより減弱した。【考案】トリプトファンによる肝脂肪化の増悪は、セロトニンへの代謝経路が関与しており、セロトニンによるmTOR活性増加を介していることが示唆された。また、トリプトファンは肝細胞のオートファジーをmTOR依存性に抑制したことから、トリプトファンによるオートファジーの抑制が肝脂肪化増悪のメカニズムである可能性が示唆された。【結語】トリプトファンは肝脂肪化を増悪する。 |
索引用語 |
NAFLD, トリプトファン |