セッション情報 シンポジウム6

HP除菌後の病態と対応

タイトル S6-10:

ESD可能なH.pylori除菌後胃癌診断のための内視鏡検査間隔の検討

演者 永原 章仁(順天堂大学医学部消化器内科)
共同演者 松本 健史(順天堂大学医学部消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大学医学部消化器内科)
抄録 【背景】近年,除菌症例の増加に伴い,除菌後に発生する胃癌が大きな問題となっている.これまで除菌後胃癌についての臨床病理学的な検討は報告されているものの,低侵襲治療法であるESDで治療可能な病変を診断するのに適切な内視鏡検査間隔についての検討はない.【方法】databaseより除菌治療成功後に新たに胃癌と診断された例を抽出した.ESD治療を行った群(E群)と手術・化学療法を行った群(S群)とで,診断された胃癌の特徴,除菌治療後から癌診断までの内視鏡検査時期について調べ,癌のない最終内視鏡から癌が診断された内視鏡までの期間をcritical interval(C-interval)として比較した.【結果】除菌後に新たに発生した胃癌は12例,男性6例,女性6例,除菌時平均年齢56.0(range;46-72)歳,E群8例,S群4例であった.除菌治療から癌診断までE群平均6.5(2.7-11.3)年,S群6.2(4.3-10.8)年であった(p=0.86).C-intervalはE群 平均1.4(0.2-2.8)年,S群2.1(0.9-4.1)年であった(p=0.30).E群はすべてIIc型分化型癌であった.S群では,2例(C-interval;1.0年,4.1年)はESD適応外IIc型分化型癌で手術を行い,1例(0.9年)は20mmのIIc型低分化型m癌で手術を行い,1例(2.5年)は粘膜に癌の露出のないスキルス癌でEMRで診断し化学療法を行った.【結語】除菌後胃癌は,除菌治療後10年以上経過後も診断されていた.ESD治療可能病変は最長2.2年の内視鏡検査間隔で診断されていたが,低分化型癌の1例は1年未満の検査間隔で診断されており,E群とS群とで検査間隔に差を認めなかった.これらのことから少なくとも年1回の内視鏡検査を長期間にわたり継続する必要があると考えられた.
索引用語