セッション情報 シンポジウム7

胃癌化学療法の新しい知見

タイトル S7-4:

切除不能進行/再発胃癌に対するS-1+Cisplatin分割療法の第II相臨床試験:HGCSG0702―安全性の解析報告―

演者 結城 敏志(北海道大学病院消化器内科)
共同演者 小松 嘉人(北海道大学病院腫瘍センター), 坂本 直哉(北海道大学病院消化器内科)
抄録 背景:切除不能進行/再発胃癌に対する初回化学療法ではSPIRITS試験の結果よりS-1+Cisplatin(CDDP)(SP療法)が標準化学療法の一つとして選択されている.しかし,多くの施設ではCDDP 60mg/m2の投与時にハイドレーション目的の入院を要し,外来投与可能な治療法開発が望まれている.そこで北海道消化器癌化学療法研究会(HGCSG)では多施設共同第II相臨床試験にて分割SP療法の有効性と安全性を検討した.方法:組織学的に腺癌の診断のついた切除不能進行/再発胃癌でRECISTv1.0による標的病変を有し,S-1の内服が可能な初回化学療法例を対象とした.投薬スケジュール:S-1は40~60mg/回を1日2回21日間内服し,14日間休薬.CDDPは30mg/m2を1・15日目に投与し,35日を1サイクルとした.主要評価項目は奏効率.副次的評価項目は無増悪生存期間,全生存期間,有害事象,非入院生存期間とした.結果:登録例40例の男女比は30:10,年齢中央値は63歳だった.患者背景は転移性/術後再発31/9,ECOG PS 0/1 33/7であり,5例に術後補助化学療法歴を有していた.非血液学的有害事象は食欲不振(70%),悪心(60%),疲労(60%),下痢(47.5%)が高頻度であり,血液学的有害事象はヘモグロビン(87.5%),好中球(82.5%),白血球(67.5%),血小板(60%)であった.主なGrade 3以上の有害事象は好中球(40%),ヘモグロビン(30%),食欲不振(30%),疲労(15%),悪心(10%),口内炎(10%)であった.これらの有害事象はSPIRITS試験におけるSP療法と概ね相違のない結果であった.本併用療法は40例中6例で8サイクル完遂となっている.増悪中止は19例であり,有害事象に起因する中止例は12例であった.結語:今回の安全性解析では分割SP療法の有害事象は比較的高頻度であったが,減量/休薬/支持療法にて対応可能であり,安全に投与が施行でき,外来での投与継続可能な程度であった.本会では詳細な有害事象解析を報告する.
索引用語