セッション情報 |
シンポジウム7
胃癌化学療法の新しい知見
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タイトル |
S7-5:進行胃癌に対するDocetaxel+Cisplatin+S-1併用化学療法の効果予測因子の開発
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演者 |
三井 康裕(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学) |
共同演者 |
北村 晋志(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 高山 哲治(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学) |
抄録 |
【目的】我々はこれまで切除不能進行胃癌を対象にDocetaxel+Cisplatin+S-1(DCS)併用療法の第I相試験(Br J Cancer,2007)及びII相試験(Cancer Chemother Pharmacol,2009)を行い,高い奏効率とdown stage率が得られることを報告した.また,胃癌stageIII症例を対象にDCS療法のneoadjuvant療法の有効性を調べる第II相試験を行い,高いR0率が得られることを報告した(Cancer Chemother Pharmacol,in press).現在,我が国でDCS 3剤併用療法の第III相試験が行われており,今後DCS療法が標準治療になる可能性がある.しかし,本療法は従来の2剤併用療法に比べて毒性が強く,適切な効果予測因子を見出すことが重要である.そこで本研究では,治療前の生検組織を用いてDNAマイクロアレイ解析を行い,網羅的な遺伝子発現解析を行うことによりDCS療法の治療効果予測因子を検討した.【方法】一次治療としてDCS療法を施行した切除不能進行胃癌19症例(著効群11例,非著効群8例)を対象とした.治療前の生検組織よりmicrodissectionにより癌細胞または正常腺管のみを採取した.RNAを抽出した後cDNAを作製,断片化しCy3で標識した後,41000個の遺伝子を含むヒト全ゲノムDNAマイクロアレイとhybridizationを行った.【成績】著効群と非著効群の2群間において,癌部(T)と非癌部(N)の比(T/N)が有意に高いまたは有意に低い遺伝子29個をt検定により抽出し,更にTaqman real PCRにより定量可能な15遺伝子を選択した.これらの中には,新しいSer/Thr kinase,細胞増殖関連遺伝子,アポトーシス関連因子などが含まれている.これらの15遺伝子を用いてleave-one-out cross-validation法により効果予測を行ったところ,100%(19/19)予測可能であった.さらに,遺伝子数を減らしても高い診断率が得られ,特定の4遺伝子の組み合わせでも100%予測可能であった.【結語】切除不能進行胃癌患者の生検組織の遺伝子発現を調べることにより,DCS療法の効果を予測しうることが示唆された. |
索引用語 |
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