セッション情報 シンポジウム8

切除不能大腸癌の化学療法

タイトル S8-1:

切除不能大腸癌の化学療法における分子標的薬の位置づけ

演者 山口 研成(埼玉県立がんセンター消化器内科)
共同演者 大木 暁(埼玉県立がんセンター消化器内科), 朝山 雅子(埼玉県立がんセンター消化器内科)
抄録  大腸がん治療ガイドラインに記されているように,大腸がん化学療法の使い分けはますます複雑化している.一次治療におけるイリノテカンのテンプレートとオキサリプラチンテンプレートの使い分け,bevacizumabと抗EGFR抗体の使い分け,そして生存期間が延長してきたため,chemoholidayやmeintenance治療の問題,そして修学的治療においては転移巣切除をどこまで行うかなどが議論になっている.現時点で一次治療におけるbevacizumab併用と抗EGFR抗体の併用の直接比較がないためにどちらから用いるべきか明確な答えはない.そのため各々の分子標的薬の特徴を考えて使い分けられているのが実情である.Bevacizumabの特徴は,副作用の増強が少ないこと,そして一次治療から二次治療の継続使用で生存の延長がきたせたことである.従って緩和的化学療法において多く用いられる傾向がある.一方KRAS遺伝子野生型の大腸がんにおいて,抗EGFR抗体は皮疹などの副作用があるもののがんを縮小させる力が強く,がんに伴う症状がある場合や切除に持って行ける可能性のある肝転移巣などを有する場合には効果が期待されている.また新たに本邦に導入されることが予定されているマルチキナーゼ阻害剤のレゴラフェニブも期待される薬剤であるがその副作用には注意が必要である.薬剤の選択だけではなく,薬剤の力を引き出すためにどう使いこなすかが今後の臨床の課題である.
索引用語