セッション情報 シンポジウム8

切除不能大腸癌の化学療法

タイトル S8-5:

大腸癌2次化学療法Irinotecan単剤におけるBevacizumab継続投与の有効性

演者 平井 聡(富山県立中央病院内科(消化器))
共同演者 荻野 英朗(富山県立中央病院内科(消化器)), 野田 八嗣(富山県立中央病院内科(消化器))
抄録 【背景】大腸癌2次化学療法においてIrinotecan(IRI)単剤治療はFOLFIRI療法の認容性がない場合に選択されることが多いが,隔週投与の有効性とBevacizumab(BV)継続投与の利益ははっきりしていない.【目的】2次化学療法におけるIRI単剤治療成績とBV継続投与の上乗せ効果を明らかにする.【対象と方法】当院で2007年5月から2012年5月までの約5年間に根治切除不能進行結腸・直腸癌に化学療法が実施された226例のうち,オキサリプラチン・フッカピリミジン・BV(5mg/kg/2週)不応例に対してIRI単剤もしくはBV併用(10mg/kg/2週)の2次治療を実施された15例を対象とした.2012年1月以前は単剤治療,以降は原則BV併用した.IRI群10例とIRI+BV群5例の背景因子,IRIベース2次治療の予後因子(リスク分類算出)および無増悪生存期間(PFS),生存期間(OS),奏効率をretrospectiveに調査して2群を比較した.【結果】背景因子(IRI/IRI+BV)は,平均年齢(66.7/62.6)歳,男性(60/75)%,結腸癌(70/80)%,K-ras野生型(40/60)%,PS0-1(70/100)%,腹膜播種(20/20)%,分化型(100/100)%,LDH平均値(539/527)IU/L,1次治療奏効率(63/60)%,1次治療PFS中央値(344/622)日(p=0.12),リスク分類:低,中,高(40,40,20/60,20,20)%であった.治療成績は,(IRI/IRI+BV):2次治療PFS中央値(61/285)日(p=0.016),OS中央値(198/未到達)日(p=0.36),奏効率(0/0)%,病勢制御率(13/80)%,[IRI:1次治療長期PFS5例/IRI+BV]:1次治療PFS中央値[524/622]日(p=0.17),リスク分類:低,中,高[40,20,40/60,20,20]%の治療成績は,2次治療PFS中央値[69/285]日(p=0.02),病勢制御率[0/80]%であり,IRI+BV群で有意にPFSが延長した.【結論】大腸癌2次化学療法IRI治療において単剤の有効性は低いが,BV継続投与で病勢制御率が上昇し,PFSが延長する可能性が示唆された.
索引用語