セッション情報 シンポジウム8

切除不能大腸癌の化学療法

タイトル S8-6:

大腸癌肝転移に対する新たな治療戦略

演者 植竹 宏之(東京医科歯科大学応用腫瘍学)
共同演者 石川 敏昭(東京医科歯科大学腫瘍外科学), 杉原 健一(東京医科歯科大学腫瘍外科学)
抄録 【はじめに】ベバシズマブ(Bmab)併用化学療法は切除不能大腸癌に対して高い奏効率を示す.当科では大腸癌肝単独転移例のうち,切除不能またはH2症例に対してBmab+mFOLFOX6療法を行い,化療後に肝切除を目指している.【対象と方法】肝単独転移17例(切除不能;12例,可能;5例)に対するBmab+mFOLFOX6療法の奏効率は76%であった.化学療法後肝切除を行った症例は8例(化療前切除不能;4例,可能;4例)であった.化療前に切除可能であった症例のうち1例は化療の継続を希望した.術中造影超音波検査で確認された病変をすべて切除した.【結果】化療前に認められた57病変のうち化療後は28病変となった(消失率51%).術中造影超音波検査では30病変が描出されすべてを切除した.病理検査では12病変(40%)には癌細胞の残存がなかった.術中に確認できなかった病変は放置したが,それらのうち再燃したのは6病変(21%)であった.創し開1例と胆汁漏を2例認めたが,重篤な手術合併症はなかった.血液検査で重篤な肝障害は認めず,病理組織検査でも肝障害は全例grade 1であった.【まとめ,TRICC0808試験】大腸癌肝転移に対するBmab+mFOLFOX6療法の奏効率は高く,化療前切除不能症例の肝切除への移行率は高かった.また,切除された病巣の病理学的癌消失率は高く,および化療後消失した病変の再燃率は低かった.TRICC0808試験は大腸癌肝転移に対するBmab+mFOLFOX6療法後肝切除の有効性と安全性を検討する第2相臨床試験である.肝単独転移症例(H2,H3)に対しBmab+mFOLFOX6療法を6サイクル(Bmabは5サイクル)行った時点での,肝転移のR0切除率をPrimary endpointとした.46例を登録し,本年結果を報告する予定である.
索引用語