セッション情報 シンポジウム8

切除不能大腸癌の化学療法

タイトル S8-8:

大腸癌肝転移に対する術前化学療法の検討

演者 河野 浩幸(九州大学大学院消化器・総合外科)
共同演者 沖 英次(九州大学大学院消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学大学院消化器・総合外科)
抄録 【はじめに】分子標的薬の導入を含めた化学療法の進歩により,大腸癌肝転移の切除成績は向上している.ただし,術前治療の対象となる肝転移の程度や化学療法のレジメンなどに一定のコンセンサスはない.【目的】術前化学療法を施行した大腸癌肝転移症例の臨床病理学的因子や奏功度について検討し,術前に化学療法を行う肝転移の対象および,化学療法のレジメについて考察する.【対象】2004年から2011年までの間に当科にて術前多剤化学療法を施行後に切除術を行った大腸癌肝転移19例(H1:8例,H2:9例,H3:2例)を対象とした.【結果】使用した化学療法はFOLFOX6単独2例,FOLFOX+Bevacizumab(Bmab)6例,XELOX単独2例,XELOX+Bmab2例,FOLFIRI単独1例,FOLFIRI+Cetuximab(Cmab)2例,IRIS+Cmab2例,SOX+Cmab 2例であった.化学療法の奏功率度はPR13例,SD6例,PD0例であった.病理学的奏功率はGrade1a:8例,Grade1b-2:11例であった.分子標的薬未使用群ではgrade1a/grade1b-2が3例/2例であったのに対し,分子標的薬使用群では5例/9例との結果になり,分子標的薬使用群で組織学的奏功度が高い傾向にあった.R0手術はH1:8例,H2:4例の合計12例(63%)に施行された.【まとめ】H2症例でもR0切除が得られており,切除を考慮した積極的な化学療法を行う必要性が示唆された.また,術前治療として分子標的薬を加えた化学療法を行った群で腫瘍縮小効果が高い傾向にあった.
索引用語