セッション情報 シンポジウム9

非切除胆膵癌に対する内視鏡的interventionの進歩

タイトル S9-1:

非切除胆膵癌による上部消化管狭窄に対する内視鏡的self-expandable metallic stent留置の検討

演者 金子 卓(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター)
共同演者 杉森 一哉(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター), 田中 克明(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター)
抄録 【目的】非切除胆膵癌による上部消化管狭窄に対する内視鏡的self-expandable metallic stent(SEMS)留置の有用性を検討する.【方法】対象は2009年10月から2012年9月まで非切除胆膵癌による上部消化管狭窄に対しthrough the scope法(TTS)でSEMS留置を施行した22例(tBP群:平均年齢69歳,男性12例,女性10例,胆道癌3例,膵癌19例).1)TTSの有用性を検討するため,非切除胆膵癌による上部消化管狭窄に対してover the wire法(OTW)でSEMS留置を施行した14例(oBP群)と比較した.2)胆膵癌に対する有用性を検討するため,非切除胃癌による上部消化管狭窄に対してTTSでSEMS留置した17例(tM群)と比較した.それぞれ2群間で背景因子,処置時間,SEMS留置前後での摂食状況の変化(Gastric Outlet Obstruction Scoring System;GOOSSで評価),摂食可能期間(少なくとも流動物を摂取できた期間),偶発症を評価した.【結果】1)背景因子,GOOSSの変化,摂食可能期間,偶発症の発生に関して,両群間で差を認めなかった.処置時間は,tBP群で平均28.6±9.4分,oBP群で平均72.4±22.3分と,tBP群で有意に短かった(P<0.001).2)狭窄部位はtBP群で全例十二指腸,tM群で全例前庭部であったが,その他背景因子,処置時間に有意差を認めなかった.留置前GOOSS=0/1/2/3は,それぞれtBP群=12/6/3/1例,tM群=12/5/0/0例で,両群間に差はなかった.留置後最良のGOOSSは,tBP群=0/1/7/14例,tM群=0/3/10/4例であり,両群とも留置前後で有意にスコアの改善を認めた(両群ともP<0.001)が,留置後にGOOSS=3となる症例がtM群よりもtBP群に有意に多かった(P=0.023).摂食可能期間,偶発症の発生は,両群間に差を認めなかった.【結論】非切除胆膵癌による上部消化管狭窄に対するTTSによるSEMS留置は,1)OTWと比較して処置が容易で,また2)胃癌症例と比較して,より摂食状況を改善し,有用である.
索引用語