セッション情報 シンポジウム9

非切除胆膵癌に対する内視鏡的interventionの進歩

タイトル S9-2:

内視鏡的胃十二指腸ステント留置術の有用性について

演者 岡崎 彰仁(広島大学大学院消化器代謝内科)
共同演者 佐々木 民人(広島大学大学院消化器代謝内科), 茶山 一彰(広島大学大学院消化器代謝内科)
抄録 【目的】進行膵胆道癌においては,病変の進行に伴い悪性消化管狭窄を生じることがあり,著しいQOLの低下を来す.今回我々は内視鏡的消化管stent留置術の有用性について検討を行った.【方法】当院にて2008年4月より2012年9月までに非切除膵胆道癌悪性消化管狭窄に対して,内視鏡的消化管ステント留置術を施行した19例(21セッション:S群)と同時期に胃空腸バイパス術を施行した24例(B群)の計43例を対象とした.検討項目は,1)患者背景,2)手技成功率,3)臨床的成功率,4)手技時間,5)食事開始までの期間,6)合併症,7)手技の前後におけるGastric Outlet Obstruction Scoring System(GOOSS)score,8)生存期間及び9)生存期間中の経口摂取可能期間とした.尚,当院における治療方法の選択は,外科的手術可能な症例は胃空腸吻合術を行い,外科的切除術が困難な症例に対して,内視鏡的ステント留置術を選択している.【成績】1)平均年齢はS群:66.6歳,B群:64.0歳,性別(男/女)はS群:14/5,B群:12/12,Performance status(0/1/2/3)はS群:(0/7/9/3),B群:(2/15/7/0),癌性腹膜炎の合併はS群:8例,B群:2例であった.2)手技的成功率はS群,B群ともに100%であった.3)臨床的成功率はS群:85.7%,B群:83.3%であった.4)手技平均時間はS群:31.8分,B群:126.3分であった.5)食事開始までの期間はS群:1日,B群3日であった.6)合併症はS群:0%,B群:0.05%であった.7)手技の前後におけるGOOSSscoreは,手技前はS群,B群ともに0%であるが,手技後はS群:2.3,B群:2.7であった.8)生存期間はS群:83.3日B群は142.2日であった.9)生存期間中の経口摂取可能期間はS群:62.8日,B群:101.5日であった.【結論】内視鏡的消化管ステント留置術は低侵襲な治療法で,ADLの低下した症例に対しても安全に施行でき,QOLの改善に寄与する治療法と考えられた.
索引用語