セッション情報 シンポジウム9

非切除胆膵癌に対する内視鏡的interventionの進歩

タイトル S9-3:

膵癌による悪性十二指腸狭窄・閉塞に対する内視鏡的十二指腸ステンティングの問題点

演者 李 倫學(九州大学病態制御内科)
共同演者 新名 雄介(九州大学病態制御内科), 伊藤 鉄英(九州大学病態制御内科)
抄録 (背景)切除不能膵癌は未だ予後不良の疾患である.胆管・十二指腸浸潤による閉塞症状はQOLを低下させ化学療法継続も困難とする.当科では膵癌による悪性胆道・十二指腸狭窄や閉塞に対する内視鏡的金属ステント留置を行い,その有用性を報告してきた.(目的)膵癌による悪性十二指腸狭窄・閉塞に対する内視鏡的十二指腸ステンティング(EDS)の問題点について検討した.(対象)2009年4月~2012年6月に当科に入院した新規膵癌症例のうちEDSを行った18症例.年齢中央値は67歳(51~81),男女比は14対4.症例の内訳は通常型膵癌15例,腺房細胞癌1例,進行性膵神経内分泌腫瘍2例.StageはIVaが5例,IVbが13例であった.(結果)浸潤部位は1)球部~下降脚3例,2)下降脚1例,3)下降脚~水平脚3例,4)水平脚11例に認められた.EDS後の食事再開までの平均日数は1.64日で,ステント開存期間の中央値は118日(23-386)であった.EDS後にGOOを認めない期間が半年以上継続して得られた症例を6例に認めた.EDS後早期のトラブルとしては1)EDS直後も嘔吐が持続1例 2)食物残渣による一時的な閉塞2例 3)KINK 1例 4)口側への逸脱1例,を経験したが,いずれも短期的に解決した.難渋したトラブルは3例で経験した.症例1:ingrowthにより再閉塞.ステント再留置後も症状改善せず,腹腔鏡下胃空腸吻合術施行.症例2:胆管・十二指腸ダブルステンティング施行.胆管炎のコントロール不良となり初回処置より1年後にPTCD留置.症例3:ダブルステンティング施行後,繰り返す胆管炎のコントロールに難渋した.(考察)EDSによりQOLが改善した症例が認められる一方,ステントトラブルに難渋する症例も経験される.膵癌による悪性十二指腸閉塞に対しては,外科的治療を含めた治療アルゴリズムの作成が望まれる.また乳頭にステントがかかる症例では,胆管炎対策が必要である.(結語)膵癌の悪性十二指腸狭窄・閉塞に対するEDSは有効であるが,適応や留置法については更なる検討が必要である.
索引用語